抄録
急性骨髄単球性白血病 (AMMoL) の治療経過中に白血病細胞の前房浸潤をきたした乳児の症例を経験したので報告する.5カ月女児, 上気道炎様症状を主訴に来院した.骨髄検査にてAMMoLと診断し, 寛解導入療法を行ったが, 寛解を得ることはできなかった.その後両眼に前房蓄膿が出現し, 前房穿刺により白血病細胞の浸潤と診断された.眼球に対する放射線照射を行い, 前房蓄膿は軽快した.治療経過中, 脳脊髄液検査上, 中枢神経系への白血病細胞の浸潤を認めなかった.しかしながら, 父親からのハプロタイプ一致選択的CD34陽性細胞同種末梢血幹細胞移植後も骨髄の寛解は得られず, 2回目の移植後4日目にthrombotic microangiopathy (TMA) によると思われる腎不全, 肝不全により死亡した.AMMoLによる前房蓄膿の合併症は非常にまれであるが, 白血病治療中の乳幼児においては定期的な眼科的検索が必要と考えられた.