日本小児血液学会雑誌
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新生児期に大量γグロブリン療法と血小板輸血を受けたMYH9異常症の1例
九鬼 一郎野間 治義石井 武文大杉 夕子迫 正廣
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2003 年 17 巻 6 号 p. 473-476

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抄録

May-Hegglin anomaly (MHA) は, 巨大血小板と血小板減少症, 穎粒球封入体を3主徴とし, 最近責任遺伝子が同定され, 類縁疾患を含めMYH9異常症として包括されている.われわれはMYH9異常症の1例を経験した.症例は, 出生時, 器械法で血小板が7,000/μ1と減少.大量γグロブリン療法および血小板輸血にて改善せず, 生後10日, 当院に紹介された.末梢血塗沫標本にて巨大血小板, 骨髄に小型未成熟巨核球を多数認めた.血小板粘着能・凝集能, 出血時間は正常で, 抗血小板抗体は認めなかった.血液検査では, 巨大血小板の存在により目視と器械で血小板数が解離しており, 巨大血小板を伴う遺伝性血小板減少症が疑われた.遺伝子検査によりMYH9遺伝子異常を認め (287;C→T) MYH9異常症と診断され無治療で経過観察されている.出血傾向のない血小板減少例では巨大血小板の存在に留意するとともに, MHAを含む遺伝性血小板減少症を鑑別すべきと思われた.

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