日本小児血液学会雑誌
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再生不良性貧血の免疫病態
病態に即した治療の選択に向けて
中尾 眞二
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2003 年 17 巻 6 号 p. 526-530

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抄録
再生不良性貧血をはじめとする一部の骨髄不全例では, 免疫病態が発症に関与しているが, これを診断するためのよいマーカーは確立されていない.CDIlb (好中球) やグリコフォリンA (赤血球) とのtwo-color flow cytometryにより, CD55陰性CD59陰性 (PNH型) 血球の増加 (PNH+) が証明された骨髄不全例は, PNH血球非増加PNH-例に比べてシクロスポリンに対する反応性やHLA-DRI5抗原保有率が高く, 染色体異常を示す頻度が低い.顆粒球中のクローン性細胞集団 (クロナリティ) の有無をHUMARAアッセイで検索したところ, クロナリティを認める頻度はPNH+例がPNH-例より有意に低かった.のちにRAEBやAMLに移行した例の多くは, PNH-のクロナリティ陽性例の中に含まれていた.したがって, PNH血球やクロナリティを検出することは骨髄不全の病態を診断するうえで有用と考えられる.
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