抄録
自己免疫性好中球減少症は乳幼児期の慢性好中球減少症の原因として頻度が高い疾患であり, 好中球特異抗原に対する抗体が原因となる.数種の好中球特異抗原 (HNA) が同定されてきており, 抗体の検出には好中球免疫蛍光試験や好中球凝集試験が用いられている.乳幼児期の慢性良性好中球減少症の50~70%で抗体が検出され, HNA-1抗原に対する抗体が原因となる例が多い.自施設では各種好中球表面抗原に対するモノクローナル抗体を作製し, 抗原の同定に用いてきた.本症は数カ月から数年の経過で, 抗体の消失とともに自然軽快する例が多い.自験例の検討ではST合剤の予防投与により感染症合併頻度の減少が期待される.発症時の抗体の有無, 強度により好中球減少期間に差が認められることから, 本症の診断, 予後の推定に抗好中球抗体の定量的検査は有用である.本総説では本症の臨床像にっいて自験例を交えて概説する.