日本小児血液学会雑誌
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N4-behenoyl-1-β-D-arabinofuranosylcytosine (BH-AC) を含む多剤併用療法による小児急性白血病の治療
BH-ACとAraCの比較
月本 一郎土田 昌宏塙 嘉之
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1988 年 2 巻 1 号 p. 68-73

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抄録
小児急性白血病に対するBH-ACの治療効果を, 多施設で後方視的に検討した.BH-ACを含む多剤併用療法により139例の小児白血病を治療し, 69例 (49.6%) が完全寛解に導入された.これらのうち, 未治療ANLLでは48例中36例 (75.0%), 治療抵抗性ALLでは58例中24例 (42.9%) が完全寛解となった.ANLLの初回寛解導入療法に, Ara CとBH-ACを含む多剤併用療法を行い, その治療効果をre-trospectiveに比較検討した.完全寛解導入率はBH-AC・AMVP療法では27例中22例 (81.5%), Ara C・AMVP療法では17例中13例 (70.5%) であった.寛解導入例の5年寛解率はBH-AC・AMVP療法では51%, AraC. AMVP療法では19%であった.5年生存率はそれぞれ43%と33%であった.BH-AC・AMVP療法の方法がAra C・AMVPに比べ, 副作用が少なかった.BH-ACはAra Cと同程度の治療効果があり, 重篤な副作用も少なく, 小児科領域では使用しやすい薬剤であった.
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