日本小児血液学会雑誌
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慢性肉芽腫症に対するHLA一致同胞からの骨髄非破壊的同種骨髄移植
小野 麻由子藤田 直人浜本 和子水上 智之布井 博幸小林 正夫
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2006 年 20 巻 1 号 p. 34-38

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抄録
慢性肉芽腫症 (CGD) は好中球の活性酸素産生障害により易感染性を呈する遺伝性疾患である.その根治療法として造血幹細胞移植があるが, 本疾患では潜在的感染や臓器予備能の低下により, 従来の骨髄破壊的前処置では治療関連毒性, 死亡のリスクが大きいとされる.今回われわれはCGDの21歳男性に対し, fludarabine, cyclophosphamide, 全身放射線照射 (TBI) による骨髄非破壊的前処置を選択し, HLA完全一致の兄より同種骨髄移植を施行した.治療関連毒性はなく, 生着はすみやかであった.混合キメラの状態であったが, 4回のドナーリンパ球輸注 (DLI) を施行し, 移植後1年で完全キメラを達成した.移植後30カ月を経過し, 好中球の活性酸素産生能は正常に維持され良好な経過を得ている.慢性肉芽腫症の根治療法として骨髄非破壊的骨髄移植は有効な治療法であると考えられた.
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