尿路結石症を合併した急性リンパ性白血病 (ALL) の8歳男児例を経験した.寛解導入療法開始後, 強い腹痛を訴えた.ビンクリスチンによる麻痺性イレウスと診断し, 排ガス, 浣腸などによる対症療法を行った.しかし腹痛がさらに増強したため, 腹部超音波検査および造影CT検査を施行したところ, 左水腎症および尿管結石を認めた.大量補液のみにて症状は改善し, 結石分析ではシュウ酸カルシウム (Ca) が主成分であった.発症時は高Ca尿症の状態であり, 今回, 高Ca尿症から結石に至った発症, 増悪因子として, 尿路結石の家族歴, 副腎皮質ステロイドや利尿剤としてアセタゾラミドの使用, および倦怠感や腹痛による長期臥床の関与が考えられた.尿路結石症はALLにおける化学療法の留意すべき合併症であり, 治療中に腹痛を訴えた場合, 念頭におくべき病態であると考えられた.
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