日本小児血液学会雑誌
Online ISSN : 1884-4723
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慢性活動性Epstein-Barr Virus感染症
木村 宏
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2006 年 20 巻 6 号 p. 572-580

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抄録
Epstein-Barr virus (EBV) は普遍的なウイルスであり, 初感染は無症候性のことが多いが, 時に伝染性単核球症となる.これらEBVの初感染は, ウイルス特異的免疫の出現により, 通常, 自然消退する.しかし, 一見免疫が正常と思われる個体にEBVの慢性感染が起こることがある.慢性活動性EBV感染症 (CAEBV) は発熱, リンパ節腫脹, 肝脾腫などの伝染性単核球症様症状が持続あるいは反復する疾患である.患者は末梢血中にEBV量の著明な増加を認め, EBV関連抗体価の異常を伴うことが多い.本疾患はまれではあるが, 非常に重篤かっ予後の悪い疾患である.近年, EBVに感染したTもしくはnatural killer (NK) 細胞の単クローン的な増殖がCAEBVの発症病理に大きく関わっていることが明らかとなっている.本稿ではCAEBVの臨床像についてまとめ, 本疾患の発症病理に関しても議論する.
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