日本小児血液学会雑誌
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臍帯血移植後に血清Eosinophil Cationic Protein値が高値を呈し気管支喘息様症状を呈したBronchiolitis Obliterans Organizing Pneumonia (BOOP) の1症例
荻野 芽子森 健矢内 友子早川 晶竹島 泰弘松尾 雅文
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2006 年 20 巻 6 号 p. 581-585

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抄録
同種造血幹細胞移植後の肺合併症として特発性器質化肺炎 (BOOP) や, 閉塞性細気管支炎 (BO) などがあり, その症状として喘鳴を伴う呼吸障害を呈することがある.今回われわれは臍帯血移植後に, 気管支喘息様症状を呈した生後8ヵ月発症の乳児急性リンパ性白血病 (ALL) の1例に対し, 気道過敏性と相関し好酸球の活動性を反映する血清eosinophil cationic protein (ECP) 値を測定, ECPの著増を認めたので報告する.症例は1歳時に非血縁者間臍帯血移植を施行, 移植約2ヵ月後に右下肺野に肺雑音が出現, 当初は移植片対宿主病 (GVHD) の肺症状としてステロイドパルス療法を施行し, 症状はやや改善した.しかし移植後約5カ月頃より著明な呼気性喘鳴を認め呼吸状態はさらに悪化, その診断に難渋したが, 血清ECP値の著増を認め, 気管支喘息様症状を呈したBOOPとしてステロイド吸入療法を行い有効であった.本症例で血清ECPは病勢を反映し, ステロイド治療に対する反応性を示す指標としても有用であった.
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