日本小児血液学会雑誌
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ATG/CyA/G-CSF 治療後に3q21q26症候群を発症した再生不良性貧血の1例
木下 明俊近藤 健介島田 温次矢部 みはる矢部 普正
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2006 年 20 巻 6 号 p. 586-590

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抄録

6歳時に, 骨髄像および染色体正常核型より再生不良性貧血と診断された男児.AA-97に登録しATG, cyclospolin (CyA), G-CSFによる免疫抑制療法を行った.臨床効果判定はpartial responseで, 血液所見はその後正常化した.1年6ヵ月後の骨髄検査で, t (3;3) (q21;q26) を3/30細胞に認め, さらに3カ月後, t (3;3) (q21;q26) およびmonosomy 7の核型異常を20/30細胞に認めた.骨髄像では小型巨核球を含む巨核球が3.5%と増加, 骨髄芽球も6.5%に認め, MDSと診断した.以後, 好中球減少, 貧血, 血小板増加が進行し, AML (M6) に移行した.非寛解のまま非血縁ドナーから骨髄移植を行い, 現在まで1年以上血液学的寛解を維持している.3q21q26染色体異常は2次性白血病で多く報告されているが, 再生不良性貧血の治療後の発症は本例が初報告例と思われる.

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