2008 年 22 巻 4 号 p. 286-292
小児急性リンパ性白血病 (ALL) では, 腫瘍細胞の免疫グロブリン (Ig) とT細胞受容体 (TCR) 遺伝子がモノクローナルに再構成していることを利用し, その症例特異的な塩基配列をPCR増幅することでMRD定量が行われている.この手法はヨーロッパを中心に開発と標準化が進み, 大規模な臨床研究には不可欠な存在となっている.数多くの研究成果から, 小児ALLのさまざまな症例で治療早期のMRDレベルが予後と強い相関を示すことが明らかとなり, 症例の層別化の新たな因子として治療への介入が試みられてきた.わが国でも小児がん白血病研究グループ (CCLSG) においてTCRγ, TCRδ, Igκ, IgH遺伝子再構成をターゲットにnested PCRによる定量が行われ, 治療層別化に応用されてきたが, その再構成の検出や定量法については, RQ-PCRなどのヨーロッパの標準的な手法と比較して, まだ満足なものとはいえない.現在われわれは, 海外と同一基準のMRD定量の精度管理を目指し, 新たな取り組みを行っている.