抄録
鉄欠乏性貧血を主訴としたCastlemanリンパ腫の15歳男児例を報告した.患児は血清鉄, 血清フェリチンの低下をみとめ, 鉄欠乏性貧血を示した.さらにCRPは10mg/dl以上の高値で, 血沈値の亢進, IgGの軽度増加も伴い, 経口鉄剤への反応は不良であった.腹部エコー, 腹部CTスキャンにより左腎前方, 膵尾下部にみられた充実性腫瘤は, 血管造影で血流豊富であったが, 67Gaシンチでの取り込みはなかった.左腎静脈直上の4.0×3.5×3.0cmの腫瘤を全摘した.腫瘤は腫大したリンパ節で, リンパ濾胞の著明な発達と壁肥厚を伴った血管増生, 硝子化, 濾胞間の線維化をみとめ, 一部に形質細胞の集簇をみとめた.この組織像は, Castlemanリンパ腫のhyaline-vasculartypeとPlasma-cell typeの中間型と考えられるものであった.腫瘤全摘後, 貧血は改善し, 他の検査値も速やかに正常化し, 1989年3月現在もまったく正常である.