日本小児血液学会雑誌
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メチールプレドニゾロン大量療法と放射線の併用療法が奏効したKasabach-Merritt症候群の1乳児例
篠沢 隆中村 暢男檀谷 尚宏岡崎 海子渋谷 温
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1990 年 4 巻 1 号 p. 69-73

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抄録
生下時より左大腿部に全周性の巨大血管腫が認められたが, 経過観察中に徐々に増大してきたため, 確定診断のための皮膚生検を施行したところ, 血腫のためその腫瘤が急速に増大し, 極度の血小板減少と凝固因子の低下を伴う播種性血管内凝固症候群 (DIC) をきたした2ヵ月女児を経験した.病理組織学的所見と考え合わせ, 出血を伴うKasabach-Merritt症候群と診断した.DICの治療としてヘパリン, メシル酸ガベキサート, アンチトロンビンIII製剤を投与しながら頻回の血小板輸血と凍結血漿の輸注を施行したが, DICは改善せず, さらに次に行った左大腿部への放射線照射 (10Gy) もまったく効果がなく腫瘍も血腫も縮小しなかった.そのため, メチールプレドニゾロン (m-PSL) 大量療法を放射線照射の追加 (6Gy) に合わせて施行したところ, 終了時には血腫とともに腫瘍が縮小し, 血小板数や凝固因子も回復した.したがって, m-PSL大量療法は生検後の血腫により悪化した血管腫に対しても即効的な治療の一つとして有用であると思われた.
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