日本小児血液学会雑誌
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G-CSF およびI-asparaginase/ vincristine/ prednisolone併用投与を中心とした多剤併用療法により治療した小児難治性急性リンパ性白血病の3例
梶ケ谷 保彦関口 晴之生田 孝一郎佐々木 秀樹松山 秀介
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1991 年 5 巻 2 号 p. 199-205

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抄録
l-asparaginase/ vincristine/ prednisoloneおよび遺伝子組換え型ヒト顆粒球コロニー刺激因子 (G-CSF) の同時期併用投与を中心とした多剤併用療法により小児難治性急性リンパ性白血病3例の治療を試みた.結果は1例が完全寛解, 2例が不完全寛解 (骨髄での芽球は5%以下であるが, 顆粒球系造血の回復のみであるため) であった.完全寛解例での維持期間は14日と短く, 平均不完全寛解維持期間は40日, 平均生存期間は137日であった。1例は肺真菌症により死亡し, 他の2例は白血病再発により死亡した.副作用としては感染症, 低アルブミン血症, 低フィブリノーゲン血症, 高血糖がみられた.l-asparaginase/ vincristine/ prednlsolone およびG-CSFの同時期併用投与による造血幹細胞の細胞回転修飾理論に基づいた治療法は小児難治性急性リンパ性白血病の再寛解導入療法としては良好と考えられたが, 寛解維持期間が短く寛解導入後の治療について新たなる考慮が必要と思われた.
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