抄録
滋賀医科大学小児科血液外来において経過観察中の慢性特発性血小板減少性紫斑病患児のうち, γ-グロブリンあるいはステロイド剤投与が無効ないし一過性の効果しか得られず, 常時血小板数40,000/μ1以下を示している10症例に保護者の同意を得てビタミンC大量経口投与800-3,000mg/日を投与した.ビタミンC大量投与にて血小板数の増加が得られなかった7例中5症例に対してツヅラフジ科植物アルカロイドのセファランチン30-50mg/日を経口投与した.ビタミンC投与にて3例 (30%) に50,000/μl以上の血小板増多が得られた.セファランチン投与にては5例中3例に3万以上の血小板増加傾向を認めた.いずれの薬剤にも重篤な副作用はみられず, 血小板増加の得られない慢性特発性血小板減少性紫斑病症例に対して, 投与を試みる価値のある治療法の一つと考えられた.