抄録
我々は小児急性白血病・悪性リンパ腫 (NHL) 患者に対する自家末梢血幹細胞移植術 (PBSCT) 施行時の前処置療法として, 全身放射線照射を含まずmethyl 6-[3-(2-chloroethyl)-3-nitrosoureido]-6-deoxy-α-D-glucopyranoside (MCNU) を主体とした多剤併用超大量化学療法 (MCVAC療法) を開発した.今回39名の小児患者に本法とPBSCTを施行し, 移植後28日 (肺障害は100日) までに出現したregimen-related toxicity (RRT) を検討した.粘膜障害を主とした軽度かつ一過性のRRTがほぼ全例に出現したが, いずれも重症に至らず軽快し, 肝veno-occlusive diseaseの発生はなく, 死亡例もなかった.MCVAC療法は, 小児急性白血病・NHLに対するPBSCTの前処置療法として比較的安全に施行可能であった.その長期毒性と有効性に関しては, 今後さらに臨床検討を行う必要がある.