日本小児血液学会雑誌
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縦隔腫瘤を有する小児T細胞性急性リンパ性白血病/非Hodgkin悪性リンパ腫7症例に対する自家末梢血幹細胞移植術
川人 雅美高上 洋一後口 ユリ岡本 康裕牧本 敦清水 隆史斎藤 慎一鈴江 毅阿部 孝典佐藤 純子河野 嘉文下河 達雄黒田 泰弘
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1993 年 7 巻 5 号 p. 478-483

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抄録
著明な縦隔腫瘤を有する小児急性リンパ性白血病 (ALL) または非Hodgkin悪性リンパ腫 (NHL) 患者に対して, 自家末梢血幹細胞移植術 (PBSCT) を施行した.内訳はALL4名とNHL3名であり, 年齢の中央値は10歳 (3~17歳) であった.全例T細胞性であった.初回寛解導入不能例1名を含む5名は第一完全寛解期に, また2名は第二完全寛解期にPBSCTを施行した.移植前処置としては, MCNU+VP46+Ara-C+cyclophosphamideの大量併用投与 (MCVAC療法) を6名た, またMCNUとbusulfan大量療法を1名に行った.うち1名にのみは, PBSCT前に縦隔部放射線照射を施行した.移植後の白血球と血小板数の回復は速やかで, 7名中5名がPBSCT後11~58カ月の問, 無治療で完全寛解を維持している.第一寛解期に移植を行い再発した1名は2度目のPBSCTを施行し, その後18カ月の間無治療で完全寛解を維持している.PBSCTは, 縦隔腫瘤を有する小児T細胞性ALL・NHLに対する有用な治療法と考えられた.
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