2026 年 10 巻 論文ID: e10016
本研究では,新しく開発した地域中核病院と市内薬局の連携を強化し,地域包括ケアシステムを進めるARCSモデルを取り入れた研修会の有効性を明らかにするため,薬局薬剤師を対象にアンケート調査を実施した.また,研修会によるトレーシングレポート(TR)送付枚数の変化,研修会で作成したチラシ及び薬局検索システムの活用状況について調査し,カークパトリックモデルに準じて評価を行った.結果,研修会が参加者の連携に対する意識や行動に変化を与え,連携強化に繋がるものであることが示唆された.また,TRの提出頻度の増加,記載内容の改善,並びにチラシ及び薬局検索システムの有効活用が認められ,カークパトリックモデルの4段階にまで到達した可能性が示された.以上より,本研修会の有効性が示唆された.他地域において本研修会を応用することにより,全国的に病薬連携が促進され,地域包括ケアシステムの推進に繋がると考える.
This study developed a training program based on the Attention, Relevance, Confidence, and Satisfaction (ARCS) model of motivation to enhance collaboration between a regional hospital and its local community pharmacies and to advance the community-based integrated care system. A questionnaire was conducted with pharmacists to assess the program’s effectiveness. An evaluation of changes in the number of tracing reports (TR) after the training sessions used the Kirkpatrick model to assess the effectiveness of the learning program, along with flyers created during the training and the pharmacy search system. The results indicated that the program positively impacted participant awareness and personal actions regarding collaboration, thereby strengthening professional ties. Furthermore, an increase in the frequency and quality of TR submissions, along with a more effective use of flyers and pharmacy search systems, was observed, suggesting that all levels of the Kirkpatrick model were achieved. These findings demonstrated the program’s effectiveness. Adopting this program in other regions will also foster nationwide hospital-pharmacy collaboration and the advancement of community-based integrated care systems.
厚生労働省は,2025年を目途に,地域の包括的な支援・サービス提供体制「地域包括ケアシステム」の実現を推進している1).その中で,診療報酬改定では,2019年に入院前から退院後まで切れ目のない医療を提供することを評価する入退院支援加算が新設された.新設後も,施設間の連携や退院・在宅復帰に向けた支援をより高く評価するため入退院支援加算の拡充や加算の引き上げが図られ,地域全体でのシームレスな医療体制が求められてきた2).さらに,2021年に施行された医薬品,医療機器等の品質,有効性及び安全性の確保等に関する法律では,薬剤師に対し服薬期間中のフォローアップの義務や処方医への情報提供の努力義務が課せられ,法律上でも,患者が住み慣れた地域で安心して医薬品を使用できるよう地域における薬局や薬剤師のあり方が見直された3).薬局薬剤師には地域包括ケアシステムを担う一員として入院時の持参薬に関する情報提供や退院時カンファレンスへの参加,退院後の服薬状況の情報提供等,外来医療,入院医療,在宅医療,いずれにおいても継続的な薬物療法への貢献が求められており,病院とのさらなる連携が要望されている.
病院と薬局間の連携,いわゆる病薬連携を推進する上で,病院薬剤師をはじめとする院内の医療従事者と薬局薬剤師間の活発な情報共有は欠かせない.円滑なコミュニケーションを図り情報共有を活性化させるためには,多職種間での顔の見える関係性構築の場が求められている.さらに,病院と薬局をシームレスに繋ぐための双方の取り決めや,トレーシングレポート(服薬情報提供書,以下,TR)といった情報提供ツールの活用等,連携を行うための基盤構築も重要である4).
このような背景を踏まえ,本研究では,病薬連携に焦点を当て,地域中核病院と薬局による患者サポート連携強化を目指す研修会を開発した.本研修会は,教育分野において「効果・効率・魅力」を高め学習支援できるよう設計する手法であるインストラクショナルデザイン(以下,ID)を取り入れることにより理論的に設計した.今回,IDの代表的なモデルの一つであるARCSモデルを用いた.ARCSモデルは,「効果・効率・魅力」の3つのうち特に「魅力」について直接扱ったものであり,学習者をいかに動機付け,学習意欲を持たせ,維持させるかという重要な課題に正面から向き合うモデルとして用いられている5).しかし,ARCSモデルのような教育理論の医学教育への応用は医療従事者が理論に十分精通していない等の理由から困難とされており,医学教育において教育理論を取り入れ,体系的に設計・評価した研究は限られている6).そのため,薬剤師を含む多職種連携に焦点を当てた教育にARCSモデルを適応した報告は,医療機関内での連携を対象としたものに留まっており7),本研究で確認した限りでは,薬局等を含む医療機関を越えた地域連携を対象とする報告は認められなかった.
そこで,本研究では,病薬連携強化を目的としたARCSモデルを取り入れた研修会を開発した.また,研修会の成果として地域において在宅医療に積極的に取り組むためのチラシ及び薬局検索システムを開発した.さらに,それらの有効性を明らかにするため,薬局薬剤師に対するアンケート調査,病院におけるデータ収集及び聞き取り調査を行い,カークパトリックモデルや時系列分析を用いて,多角的な指標を用いて評価を実施した.
愛知県春日井市において地域の中核病院である春日井市民病院と市内の薬局間で連携して患者を継続的にサポートすることを目的にARCSモデルを取り入れた研修会を実施した.研修会は,2020年9月から2024年2月において,春日井市総合保健医療センターの集合形式またはオンライン形式で全14回行った.対象は地域の薬局薬剤師とし,実施時間は1回あたり2時間から4時間とした.研修会の概要について表1に示す.研修会では,病院薬剤師や医師,看護師,ケアマネジャー等に講師を依頼し,薬局薬剤師との交流を図った.また,情報提供ツールであるTRの作成演習を事例紹介や症例検討を交えて実施し,効果的な活用を促した.さらに,参加者から挙げられた薬剤師による在宅業務の浸透不足といった課題に基づき,在宅医療における薬剤師の役割を記載したチラシ(以下,チラシ)(図1)と在宅患者受け入れ薬局検索システム(以下,薬局検索システム)を開発・活用し,在宅医療を含めた連携強化を目指した.
研修会の概要
| 回 | 日程 | 実施時間 | 主なコンテンツ |
|---|---|---|---|
| 1 | ◎2020年9月27日 | 3時間30分 | 【講義】第一線の臨床現場で行われている糖尿病治療の実践を学ぶ(医師) 【講義】糖尿病患者の薬薬連携 実例紹介 【講義】今年度のセミナーとともに進める地域連携に関する研究について |
| 2 | 2020年10月4日 | 4時間 | 【講義】糖尿病患者の足病変の実態について(看護師) 【講義】春日井市民病院のフットケアについて 患者と行うフットケアのポイント(看護師) 【実技】フットケアの実際 |
| 3 | ◎2021年1月24日 | 4時間 | 【講義】「糖尿病教室」での食事療法の指導内容について(管理栄養士) 【ディスカッション】過去の食事療法の指導内容について 2事例(管理栄養士) 【報告】薬局でのフットケア支援の中間報告会 【演習】事例報告書作成 薬局でのケア支援の内容と対応策について 【講義】ひとつの病院と薬局との連携の形について |
| 4 | ◎2021年3月7日 | 4時間 | 【講義】地域薬局における患者支援の実例(薬局薬剤師) 【演習】トレーシングレポートの作成演習,ディスカッション |
| 5 | ◎2021年7月10日 | 2時間 | 【講義】薬局から有益な情報を病院へ送り連携を深めるために実行できることの検討 【ディスカッション】地域連携室と薬局の連携の実態,これからの連携構築について |
| 6 | ◎2021年8月7日 | 2時間 | 【ディスカッション】過去の薬局で実施した患者対応の例の紹介(薬局薬剤師) 【演習】事例報告書作成 |
| 7 | ◎2021年9月18日 | 2時間 | 【ディスカッション】過去の薬局で実施した患者対応の例の紹介(薬局薬剤師) 【演習】事例報告書作成 |
| 8 | ◎2022年2月5日 | 3時間10分 | 【講義】病院と薬局の連携の仕組みと事例紹介 【講義】退院時カンファレンスの事例(医療連携室 看護師) 【講義】春日井市民病院のトレーシングレポートの事例紹介 【ディスカッション】薬局薬剤師が居宅で療養する患者に何ができるか |
| 9 | ◎2022年5月7日 | 3時間10分 | 【講義】薬局の地域住民に対するアピールポイントへの提案 【講義】春日井市民病院のトレーシングレポートの事例紹介 【ディスカッション】地域連携室が患者相談時に使用する薬局紹介用紙(チラシ)の作成 |
| 10 | ◎2022年9月10日 | 3時間10分 | 【講義】薬局薬剤師との連携に期待すること(医師) 【講義】春日井市民病院のトレーシングレポートの事例紹介 【ディスカッション】患者が薬局を選択する決め手となる紹介用紙の作成 |
| 11 | ◎2023年1月14日 | 3時間10分 | 【講義】薬局・薬剤師アピールのチラシの作成と運用実績(薬局薬剤師) 【講義】地域福祉において取り組みたいこと(行政 福祉担当者) 【講義】患者さん・利用者さんとともにチームの一員として(介護支援専門員) 【講義】春日井市民病院のトレーシングレポートの事例紹介 【ディスカッション】症例検討会 在宅生活で薬剤師ができること(介護支援専門員) |
| 12 | 2023年5月14日 | 3時間10分 | 【講義】医療連携室から地域薬局への働きかけと連携実績(医療連携室 看護師) 【講義】春日井市民病院のトレーシングレポートの事例紹介 【ディスカッション】患者に対しての最善な生活提案,療養計画 【実演】模擬カンファレンス |
| 13 | 2023年8月6日 | 3時間10分 | 【講義】春日井市民病院,地域の連携薬局 厚労省視察報告 【講義】ここから始めよう.大腸がんの薬物治療~レジ面管理を含めて~ 【講義】春日井市民病院のトレーシングレポートの事例紹介 【ディスカッション】薬局でできるフォローアップと副作用モニタリング 【実演】模擬カンファレンス |
| 14 | 2024年2月4日 | 3時間10分 | 【講義】基本から見直す 緩和治療薬の使い分け方 【講義】春日井市民病院のトレーシングレポートの事例紹介 【ディスカッション】症例検討会 |
◎はオンラインで実施

在宅医療における薬剤師の役割を記載したチラシ
チラシは,春日井市民病院医療連携室の看護師によって,独居の高齢者,麻薬や重篤な副作用がある医薬品を使用する患者,及び無菌調剤や運搬が必要な医薬品を使用する患者等,居宅療養管理指導の導入が必要と判断された患者に配布された.また,春日井市薬剤師会から春日井市薬剤師会所属薬局に本チラシを配布し,薬局での活用も促した.
薬局検索システムは,在宅医療に積極的に取り組む薬局を春日井市薬剤師会が募り,申告があった薬局をあらかじめGoogle Maps上に表示させたもので,患者宅近隣で在宅医療に対応可能な薬局の検索を簡便化したシステムである.薬局検索システムは,医療連携室の看護師が,上記のチラシを配布した患者に対し,居宅療養管理指導の導入が可能な薬局を検索し,選定・紹介する場面で使用した.
2. 研修会の効果検証研修会の有効性は,薬局薬剤師に対するアンケート調査と病院におけるデータ収集及び聞き取り調査によって評価した.
1) 薬局薬剤師に対するアンケート調査 1) -1.調査方法2024年5月10日から2024年6月27日にWebアンケート調査を実施した.アンケートフォームは,Microsoft Formsを用いて作成後,春日井市薬剤師会を通じて,アンケートフォームURL及びQRコードを明記した用紙を対象薬局にFAXすることにより周知した.
1) -2.調査対象調査対象は,春日井市薬剤師会所属薬局(142薬局)に勤務する薬剤師337名とした.
1) -3.調査項目調査項目は,A)回答者の属性,B)チラシ及び薬局検索システムの利用状況,C)研修会の内容,D)研修会の効果の22問とした.A)回答者の属性は,性別,年代,薬剤師の実務経験年数,勤務先の薬剤師数,勤務先と春日井市民病院との距離,勤務先の春日井市民病院からの処方箋枚数,及び管理薬剤師であるか否かとした.B)チラシ及び薬局検索システムの利用状況は,薬局でのチラシ掲示の有無,薬局でのチラシ配布の有無,春日井市民病院からの在宅患者紹介の有無とした.C)研修会の内容は,研修会がARCSモデルを参考に設計されているため,先行研究を参考にARCSモデルに準じた質問項目を作成した5,8).ARCSモデルにおいて,学習意欲に関連する概念はAのAttention(注意),RのRelevance(関連性),CのConfidence(自信),及びSのSatisfaction(満足感)の4つに分類され,本アンケートでは,問12・13がA,問14・15がR,問16・17がC,問18がSに対応している.D)研修会の効果は,連携に対する意識変化,連携に対する行動変化,連携の進展,及びTR提出頻度の変化とした.C)研修会の内容(問12から問18)及びD)研修会の効果は,5件法のリッカート尺度の回答形式とした.なお,B)チラシ及び薬局検索システムの利用状況については管理薬剤師のみが,また,C)研修会の内容及びD)研修会の効果については,研修会参加者のみが回答できるようアンケートフォームを設計した.
1) -4.評価及び統計解析アンケート結果は,単純集計による評価を行った.B)チラシ及び薬局検索システムの利用状況では,回答者を研修会参加の有無により層別化,D)研修会の効果では,全14回の研修会のうち半数を超える参加となる参加回数が8回以上の者を参加回数の多い群,1回以上8回未満の者を参加回数が少ない群に層別化し,Fisherの直接確率検定を実施した.統計ソフトはIBM SPSS Statistics 30.0.0を用い,統計的有意はp < 0.05とした.
2) 病院におけるデータ収集及び聞き取り調査 2) -1.調査方法春日井市民病院医療連携室におけるチラシ及び薬局検索システムの利用歴についてデータ収集及び聞き取り調査を行った.また,2020年9月から2024年7月において春日井市薬剤師会所属薬局から春日井市民病院薬剤科へ送られたTRの調査を行った.
2) -2.統計解析TRの調査では,春日井市薬剤師会所属薬局を研修会に参加した薬剤師が一人も勤務しない薬局(参加者がいない薬局),勤務する薬剤師の最大参加回数が1回以上8回未満の薬局(参加回数が少ない薬局),勤務する薬剤師の最大参加回数が8回以上の薬局(参加回数が多い薬局)の3つに層別化した.今回,在宅医療推進のためのチラシ及び薬局検索システムの活用を2022年12月から始めたことを考慮し,2022年12月を介入点として,その前後で自己回帰和分移動平均(autoregressive integrated moving average: ARIMA)モデルを用いた分割時系列分析を行った9).解析は,先行研究を参考に10),Cochrane Effective Practice and Organisation of Careが公表しているInterrupted Time Series(ITS)解析の方法論に基づいて実施した11).統計ソフトはIBM SPSS Statistics 30.0.0を用い,統計的有意はp < 0.05とした.
3. アウトカム主要アウトカムは,研修会実施によるTR送付枚数の変化,副次アウトカムは,研修会参加者へのアンケート調査による意識・行動の変化,ならびに研修会で作成したチラシ及び薬局検索システムの活用状況とした.
4. 倫理本研究は名古屋市立大学医学系研究倫理審査委員会及び春日井市民病院臨床研究審査委員会の承認を受け実施した(承認番号:60-24-0008,24-6-576).また,アンケートは厳重に保管し貴重な資料として使用すること,結果は学会や学術誌にて発表されることがあること,回答は任意によるもので回答しない場合でも不利益を被ることはないこと,回答者の情報(氏名,メールアドレス等)は送信されないことを回答フォームに明記した.
研修会ではIDの代表的なモデルの一つであるARCSモデルを取り入れた.Attentionについては,診療報酬等に基づき近年注目されている話題を題材とすることにより,参加者の興味を引いた.また,学習時間を区切り,講義に実技やディスカッション等を組み入れ,変化性を与えた.Relevanceは,糖尿病患者のフットケアや食事指導など身近な病気に関する講義を取り入れ,親しみやすく,実践に直結するプログラム内容とした.さらに,病薬連携を進めるメリットを強調し,学習へのやりがいを感じさせた.Confidenceについては,自信不足あるいは過剰によって効果的な学びが妨げられないよう配慮した.例えば,TR作成においては理想的な水準を初期段階から求めず,参加者の習熟度に応じて段階的な質の向上を図り,研修会の回数を重ねるにつれ自身の情報提供が貢献していることを実感できるよう設計した.作成時には,グループディスカッションにおいて他者と意見交換する中で,他者からの同意や,多角的な視点を取り入れることにより,自身の考えにさらなる自信を持たせた.また,作成後には病院薬剤科及び大学教員からの総括的なフィードバックを行い,学習成果を感じさせること,さらに,実際に春日井市民病院で有益であったTRの事例を病院側が紹介することにより,学習内容に対するSatisfactionを向上させた.
2. 研修会の効果検証 1) アンケート結果アンケートの回収率は54.6%(所属会員337人中184人が回答)であった.アンケート結果を表2に示す.
アンケート結果
| A)回答者の属性 | 参加者n(%) n = 41 |
非参加者n(%) n = 143 |
合計n(%) n = 184 |
||
|---|---|---|---|---|---|
| 問1 | 性別をお答えください. | 男性 | 22(53.7) | 64(44.8) | 86(46.7) |
| 女性 | 19(46.3) | 79(55.2) | 98(53.3) | ||
| 問2 | 年代をお答えください. | 20代 | 2(4.9) | 23(16.1) | 25(13.6) |
| 30代 | 9(22.0) | 49(34.3) | 58(31.5) | ||
| 40代 | 9(22.0) | 38(26.6) | 47(25.5) | ||
| 50代 | 11(26.8) | 16(11.2) | 27(14.7) | ||
| 60代以上 | 10(24.4) | 17(11.9) | 27(14.7) | ||
| 問3 | 薬剤師の実務経験年数(病院勤務期間も含む)をお答えください. | 0年以上5年未満 | 3(7.3) | 26(18.2) | 29(15.8) |
| 5年以上10年未満 | 5(12.2) | 29(20.3) | 34(18.5) | ||
| 10年以上20年未満 | 10(24.4) | 38(26.6) | 48(26.1) | ||
| 20年以上 | 23(56.1) | 50(35.0) | 73(39.7) | ||
| 問4 | お勤めする薬局の薬剤師数(常勤換算)をお答えください. | 1人以上2人未満 | 7(17.1) | 39(27.3) | 46(25.0) |
| 2人以上3人未満 | 10(24.4) | 46(32.2) | 56(30.4) | ||
| 3人以上4人未満 | 13(31.7) | 32(22.4) | 45(24.5) | ||
| 4人以上5人未満 | 8(19.5) | 17(11.9) | 25(13.6) | ||
| 5人以上 | 3(7.3) | 9(6.3) | 12(6.5) | ||
| 問5 | お勤めする薬局と春日井市民病院の距離をお答えください. | 0 km以上0.5 km未満 | 0(0.0) | 4(2.8) | 4(2.2) |
| 0.5 km以上2 km未満 | 8(19.5) | 20(14.0) | 28(15.2) | ||
| 2 km以上5 km未満 | 16(39.0) | 51(35.7) | 67(36.4) | ||
| 5 km以上 | 17(41.5) | 68(47.6) | 85(46.2) | ||
| 問6 | お勤めする薬局の直近1ヶ月間における,春日井市民病院からの処方箋枚数についてお答えください. | 0枚以上10枚未満 | 8(19.5) | 40(28.0) | 48(26.1) |
| 10枚以上50枚未満 | 22(53.7) | 74(51.7) | 96(52.2) | ||
| 50枚以上100枚未満 | 6(14.6) | 14(9.8) | 20(10.9) | ||
| 100枚以上 | 5(12.2) | 15(10.5) | 20(10.9) | ||
| 問7 | あなたは管理薬剤師ですか. | はい | 28(68.3) | 85(59.4) | 113(61.4) |
| いいえ | 13(31.7) | 58(40.6) | 71(38.6) | ||
| B)チラシ及び薬局検索システムの利用状況(管理薬剤師に対する調査) Fisherの直接確率検定(* p < 0.05) |
参加者n(%) n = 28 |
非参加者n(%) n = 85 |
合計n(%) n = 133 |
p値 | ||
|---|---|---|---|---|---|---|
| 問8 | お勤めする薬局では,春日井市薬剤師会が作成した薬剤師の在宅訪問に関するチラシを掲示していましたか. | 掲示していた | 6(21.4) | 10(11.8) | 16(14.2) | 0.220 |
| 掲示していなかった | 22(78.6) | 75(88.2) | 97(85.8) | |||
| 問9 | お勤めする薬局では,春日井市薬剤師会が作成した薬剤師の在宅訪問に関するチラシを患者さんに配布しましたか. | 配布した | 5(17.9) | 3(3.5) | 8(7.1) | 0.022* |
| 配布しなかった | 23(82.1) | 82(96.5) | 105(92.9) | |||
| 問10 | お勤めする薬局では,直近1年間で春日井市民病院からの在宅患者の紹介がありましたか. | 紹介があった | 10(35.7) | 6(7.1) | 16(14.2) | <0.001* |
| 紹介がなかった | 18(64.3) | 79(92.9) | 97(85.8) | |||
| C)研修会の内容(研修会参加者に対する調査n = 41) | |||||||||||||||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 問11 | 研修会に参加した回数をご記入ください. | 参加回数(回) | 0 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | 13 | 14 |
| 回答者(人) | 85 | 14 | 7 | 5 | 4 | 2 | 0 | 0 | 1 | 3 | 2 | 0 | 0 | 1 | 2 | ||
| 参加者n(%) | |||||||||||||||||
| 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | |||||||||||||
| 問12 | 研修会は「連携」に興味を持たせる内容でしたか. | 0(0.0) | 1(2.4) | 9(22.0) | 20(48.8) | 11(26.8) | |||||||||||
| 問13 | 研修会は「連携」を進めたいと思える内容でしたか. | 0(0.0) | 2(4.9) | 7(17.1) | 21(51.2) | 11(26.8) | |||||||||||
| 問14 | 研修会は「連携」を進めるという目的に合う内容でしたか. | 0(0.0) | 2(4.9) | 8(19.5) | 19(46.3) | 12(29.3) | |||||||||||
| 問15 | 研修会は「連携」を進めるために役に立つ内容でしたか. | 0(0.0) | 2(4.9) | 7(17.1) | 20(48.8) | 12(29.3) | |||||||||||
| 問16 | 研修会は「連携」を進めるためにご自身に自信を与える内容でしたか. | 1(2.4) | 3(7.3) | 14(34.1) | 16(39.0) | 7(17.1) | |||||||||||
| 問17 | 研修会の内容は理解できましたか. | 0(0.0) | 1(2.4) | 8(19.5) | 19(46.3) | 13(31.7) | |||||||||||
| 問18 | 研修会の内容に満足できましたか. | 0(0.0) | 2(4.9) | 13(31.7) | 17(41.5) | 9(22.0) | |||||||||||
| D)研修会の効果(研修会参加者に対する調査n = 41) | 参加者n(%) | |||||
|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | ||
| 問19 | 研修会に参加後,「連携」を進めることに対する意識は参加前に比べて上がりましたか. | 0(0.0) | 1(2.4) | 8(19.5) | 21(51.2) | 11(26.8) |
| 問20 | 研修会に参加後,「連携」を進めることに対する行動は参加前に比べて増えましたか. | 3(7.3) | 1(2.4) | 16(39.0) | 15(36.6) | 6(14.6) |
| 問21 | 研修会に参加後,「連携」は進みましたか. | 3(7.3) | 4(9.8) | 19(46.3) | 11(26.8) | 4(9.8) |
| 問22 | 研修会に参加後,トレーシングレポートの提出頻度は増えましたか. | 5(12.2) | 8(19.5) | 18(43.9) | 5(12.2) | 5(12.2) |
| D-2)研修会の効果における参加回数による層別化Fisherの直接確率検定(* p < 0.05) | 参加回数 | p値 | ||
|---|---|---|---|---|
| 8回未満n(%) | 8回以上n(%) | |||
| 問19 | 評価3以下の回答 | 9(28.1) | 0(0.0) | 0.167 |
| 評価4以上の回答 | 23(71.9) | 9(100.0) | ||
| 問20 | 評価3以下の回答 | 17(53.1) | 3(33.3) | 0.453 |
| 評価4以上の回答 | 15(46.9) | 6(66.7) | ||
| 問21 | 評価3以下の回答 | 22(68.8) | 4(44.4) | 0.248 |
| 評価4以上の回答 | 10(31.3) | 5(55.6) | ||
| 問22 | 評価3以下の回答 | 27(84.4) | 4(44.4) | 0.025* |
| 評価4以上の回答 | 5(15.6) | 5(55.6) | ||
問12から問18は評価1:そう思わない~評価5:そう思う,問19は評価1:意識が上がらなかった~評価5:意識が上がった,問20は評価1:行動が増えなかった~評価5:行動が増えた,問21は評価1:進まなかった~評価5:進んだ,問22は評価1:増えなかった~評価5:増えたの5段階リッカート形式
A)回答者の属性
研修会参加者と非参加者で属性に大きな変化は認められなかった.
B)チラシ及び薬局検索システムの利用状況
チラシを掲示あるいは配布した薬局の割合は,それぞれ14.2%(16/113),7.1%(8/113)であった.直近1年間で春日井市民病院からの在宅患者の紹介があった薬局の割合は,14.2%(16/113)であった.研修会に参加した管理薬剤師が勤務する薬局では,研修会に参加した管理薬剤師が勤務しない薬局に比べ,チラシの配布及び在宅患者紹介が有意に多かった.
C)研修会の内容
問12から問18における評価4または評価5の割合は,全ての項目において50.0%を超えていた.「A進めたい」,「R役に立つ」が78.0%,「A興味」,「R目的に合う」が76.8%と特に高かった.「C自信」については56.1%と他の項目と比べ低い値を示した.また,全ての項目で中央値は4であった.
D)研修会の効果
評価4及び評価5の割合は,「連携に対する意識変化」では78.0%,「連携に対する行動変化」では51.2%であった.また,「連携の進展」は36.6%,連携の指標となる「TRの提出頻度の変化」は24.4%の人が評価4または評価5で回答した.さらに,参加回数の多い群では,参加回数の少ない群に比べ「TRの提出頻度の変化」において評価4及び評価5の割合が有意に高かった.
2) 病院におけるデータ収集及び聞き取り調査チラシは,医療連携室において活用が始まった2022年12月から2024年6月までに64枚配られた.そのうち薬局薬剤師による居宅療養管理導入数は22件(34.4%)であった.医療連携室における聞き取り調査では,チラシや検索システム活用の利点について,「薬剤師が在宅医療で何をやっているのか,なぜやっているのかを口頭よりも説明がしやすくなった.」といった運用の利便性や,「紹介した薬局にチラシを持って来局した患者がいた.」や「紹介により実際に居宅療養管理指導に結びつきその後半年間,再入院がみられなかった例があった.」など具体的な成果に関する意見が得られた.
春日井市薬剤師会所属薬局から春日井市民病院薬剤科へ送られたTRの時系列分析の結果を表3に示す.参加者がいない薬局では,介入前後のトレンドの変化が負の値を示し傾きが減少していることが分かった.また,介入18ヶ月後のレベルの変化も–7.26と負の値を示していた.参加回数が少ない薬局でも,18ヶ月後のレベルの変化は–4.21と負の値をとり,介入前のデータから予測される値よりTRの送付枚数は減少していたが,参加者がいない薬局と比べ低下の度合いは小さかった.参加回数が多い薬局の18ヶ月後のレベルの変化は,3.38と正の値であり,予測値よりTRの送付枚数が有意に増加していた.
時系列分析
| 参加者がいない薬局 | 参加回数が少ない薬局 | 参加回数が多い薬局 | ||||
|---|---|---|---|---|---|---|
| 推定値 | p値 | 推定値 | p値 | 推定値 | p値 | |
| 介入前のトレンド | 0.50 | <0.001* | 0.20 | <0.001* | –0.01 | 0.822 |
| 介入前後のトレンドの変化 | –0.60 | <0.001* | –0.11 | 0.169 | 0.11 | 0.198 |
| 介入前後のレベルの変化 | 3.62 | 0.031* | –2.26 | 0.031* | 1.32 | 0.253 |
| 介入3ヶ月後のレベルの変化 | 1.80 | 0.252 | –2.58 | 0.011* | 1.67 | 0.135 |
| 介入6ヶ月後のレベルの変化 | –0.01 | 0.995 | –2.91 | 0.005* | 2.01 | 0.077 |
| 介入12ヶ月後のレベルの変化 | –3.63 | 0.056 | –3.56 | 0.004* | 2.69 | 0.046* |
| 介入18ヶ月後のレベルの変化 | –7.26 | 0.003* | –4.21 | 0.006* | 3.38 | 0.048* |
* p < 0.05

本研究では,地域の中核病院である春日井市民病院と市内薬局間の患者サポート連携強化を目指すARCSモデルを取り入れた研修会の有効性を明らかにした.
本研究を実施した愛知県春日井市は一般的な日本の二次医療圏に近い特性を有すると考えられる.日本の二次医療圏は,「一体の区域として入院医療を提供することが相当である単位」と定義され,設定にあたっては人口規模(20万人未満は再検討対象)や医療提供体制が考慮される12).春日井市は人口31万人,高齢化率26%の都市であり13),高齢化率の全国平均29%14) と大きな乖離はなく,二次医療圏における人口構成と概ね一致する.また,558床を有する春日井市民病院が地域における中核病院として入院医療を担う役割を果たす.さらに,薬局数も人口規模に応じた配置水準にあり14),医療資源が一定程度確保されていることから,地域完結型の医療を提供し得る環境にある.以上より,本地域で開発された研修モデルは他の二次医療圏にも応用可能であると考えられ,本地域での実施は地域連携強化を目的とした研修モデル開発の場として妥当であると考える.
我々が開発した研修会の特徴は,連携の中心となる中核病院と地域の薬剤師会のみならず,本学が学術的な支援をすることによりARCSモデルを導入し教育理論に沿って実施した点にある.ARCSモデルは魅力的な研修の構築に役立ち,個々の学習意欲を高める.日進月歩の医学に伴い複雑で多様な薬物療法への対応が求められる薬剤師にとって生涯研鑽は非常に重要であり高い学習意欲による主体的な学習が必要とされる.そのため,薬剤師の学習へのARCSモデルの適応は効果的であると考えられる.
アンケート結果,C)研修会の内容では,評価4または評価5の割合は全項目で50.0%を超えており,参加者はARCSモデルを適用した本研修会を高く評価していることが示された.特にAやRに対し高い評価をした人が多く,病薬連携の意義や進め方を適切に伝えたことにより,興味ややりがいを引き出すことができたと考える.一方,C自信に関する評価は他の項目と比べて低かった.ARCSモデルを導入した他の研究でもA,R,Sの項目に比べCの評価が低くなっているものがいくつか散見され15–17),本研究も同様の傾向が見られた.本研修会では,自信を高めるための取り組みとして,グループディスカッションや症例検討を行ったが,いくつかの事例を用いたものに留まった.そのため,実際の現場において患者ごとに多様な対応が求められる薬剤師に典型的な症例検討だけでは自信を持たせることが困難であったこと,また,他者の優れた意見を聞くことにより自分の考えへの自信を失ってしまった参加者もいたことが考えられる.
さらに,研修会の効果について,研修を含む教育の評価モデルとして長年用いられているカークパトリックモデルに沿って評価を行った.同モデルでは,教育の効果がレベル1:反応,レベル2:学習,レベル3:行動,レベル4:業績の4段階評価で表される.レベル1では参加者の満足度,レベル2では参加者の理解度,レベル3では研修後の行動変容が指標となるため18),本アンケートではそれぞれ問18,問17,問20に対応する.各レベル単一質問による簡易的なものではあるが,評価4及び評価5の割合は,問18が63.4%,問17が78.0%と高く,ともに評価1の回答は見られなかった.このことより,本研修会が参加者のニーズに即した学習内容の提供ができた可能性が示唆された.レベル3においても,問20の評価4及び評価5の割合は50.0%を超え,半数以上の人が十分に病薬連携のための行動に移せたことが分かった.レベル4については,アンケート結果「連携の進展」から,研修会が病薬連携強化に一定の効果をもたらした可能性が示唆された.さらに業績の評価として,TR送付枚数の変化,研修会で作成したチラシ及び薬局検索システムの活用状況に関する実態調査を併せて行った.
TRは病薬連携を円滑に進める上で,病院と薬局間の情報共有に欠かせないツールであり,近年その有用性が示されている19,20).一方,TRの作成頻度が低いといった量的問題21) や薬学的考察がなされていないといった質的問題22) が報告されており,TRの有効的な活用には多くの課題が残されている.これらの現状を踏まえ,研修会ではTRの報告方法や記載内容を主要なテーマとして取り上げた.
研修会開始以降,春日井市民病院に送られたTRの枚数は年々増加傾向にあるが,本研修会の効果のみならずTR送付により保険請求の算定可能な加算増設やTR有用性の認識の高まり等,社会的影響を排除しきれない.そこで,今回,薬剤師会所属薬局を研修会参加回数によって3群に層別化し,時系列分析を行うことにより,本研修会による効果を検証した.時系列分析ではパラメータとしてトレンドとレベルがあり,トレンドの変化は介入前のデータから得られる回帰直線と介入後のデータから得られる回帰直線の傾きの差,レベルの変化は介入前の回帰直線と介入後の回帰直線のある時点における落差を意味する9).今回,参加者がいない薬局では,18ヶ月後のレベルの変化が負の値を示した.これは,社会的要因により一時的にTR送付枚数が増加したものの,その後は増加傾向が鈍化し,一定水準で推移するようになったことを反映していると考えられる.参加回数が少ない薬局でも同様にレベルの変化は負の値を示したが,その絶対値は参加していない薬局より小さく,研修会参加による一定の効果が示唆された.さらに,参加回数が多い薬局では,レベルの変化は正の値をとり,予測値を上回るTR送付枚数の増加が認められた.アンケート結果からも参加回数が多い群でTR提出頻度の上昇を実感した人が多く,本研修会への参加がTR送付枚数の増加に寄与した可能性が示唆された.TRの質の面においても,研修会に参加した薬剤師のいる薬局から送られたTRでは薬剤の変更や増量に伴う副作用発現のため処方提案を行い実際に変更に至った薬学的管理に類する例が多く散見された.一方,当病院に送られたTR全体としてみると,指導内容や残薬数といった事実のみの報告に留まり,薬学的考察や処方提案のないものも多く,TRの記載内容に対する改善の必要性が確認された.
次いで,研修会で作成したチラシ及び薬局検索システムの活用状況について評価を行った.在宅医療において薬剤師が関与することにより有害事象や服薬状況が改善された事例は数多くあり,在宅医療での薬剤師の存在意義は大きい.一方で,「薬剤師による在宅訪問業務の医療福祉関係者への周知・理解不足」や「届出情報と在宅訪問業務の応需可能な薬局の情報不足」23) といった在宅業務開始に至るまでの段階に大きな課題があり,薬剤師による在宅での適切な薬物療法提供の妨げとなっている.本地域においても同様の問題が提起され,チラシ及び薬局検索システムを開発した.
聞き取り調査では,チラシを活用する看護師長から,チラシがあることにより,薬剤師が在宅医療に関わる意義や具体的な業務内容を他職種からも説明しやすく有用であるとの意見が得られた.本チラシの利用に対しては,在宅医療に関わるケアマネジャーや地域包括支援センター職員からも賛同の声が上がっており,今後,さらなる利用の拡充が検討される.他職種からの薬剤師の在宅業務への不十分な理解が指摘される中,チラシ活用は他職種や地域住民からの薬剤師在宅業務の認知度を高め,薬剤師の評価向上に寄与すると考える.地域住民に対しても,紙媒体を用いた説明を行うことで口頭のみでの説明に比べ記憶に残りやすく,何度も見返すことができるという点から効率的かつ正確に薬剤師による在宅業務を周知する手段となった.また,チラシ配布時の薬局検索システムの併用は,患者宅近隣で在宅を積極的に行う薬局の容易かつ迅速な紹介を可能にしたとの意見が挙げられた.愛知県薬剤師会のホームページでも在宅医療受入薬局を確認できるが,受入可能な薬局であっても実際には行われていないなど実態との間に乖離があった.本薬局検索システムは,市の薬剤師会が介入し,改めて積極的に在宅業務を行っている市内薬局を調査して開発したことにより実際の対応可否に即した内容となっている.チラシ及び薬局検索システムを用いた紹介は,64件中22件が居宅導入に結びついており,ツールの有効性を裏付ける結果となった.
以上のTR,チラシ及び薬局検索システムの結果は,本研修会の成果として評価できるものである.また,研修会で取り上げた糖尿病患者に対するフットケアの実践等,研修内容を自身の薬局業務に反映させた例も研修会における講義の一環として発表されており,業務に活かせる研修であったことが分かった.これらは,アンケート結果に加え,本研修会がカークパトリックモデルの最高段階である「業績」にまで到達したことを示唆するものであると考える.
本研究の限界として,対象地域が愛知県春日井市といった限定した単一地域における調査であること,また,単一地域での実施であり,対照群を設定していないため,研修会にARCSモデルを採用しなかった場合との比較は難しいことが挙げられる.本地域は一般的な日本医療の構図を反映していると考えられるものの,各医療圏の中核病院の数,薬剤師会と中核病院の連携度合い,在宅医療の推進度合いなど,地域の特性に即した応用が必要である.次に,本研修会はアンケート調査実施の約4年前より開始されており,当時の心境と回答内容に乖離が生じている可能性がある.また,薬局におけるチラシ利用率は低く,薬剤師本人が説明することによりチラシ利用のメリットが十分に認識されていなかったことや周知不足が一因と考えられる.薬局でのチラシ利用は患者が相談しやすい環境作りの手段として有効であり,積極的な利用が望まれる24).
今回,我々が開発したARCSモデルを取り入れた研修会が病薬連携の強化に有効であることが示唆された.本研修会を病薬連携の好事例モデルとして全国各地域で参考にすることにより,全国的に効果的な病薬連携・地域連携が普及し,究極的には,患者・地域住民の最適な薬物療法のための地域連携,地域医療,さらには,地域包括ケアに繋がると考える.
本研究は,令和6年愛知県薬剤師会臨床研究推進補助事業(補助事業番号202401)の助成を受け実施した.
発表内容に関連し,開示すべき利益相反を以下に示す.
顧問:あり(鈴木匡,株式会社スギ薬局)