2020 年 4 巻 論文ID: 2020-021
6年制薬学教育では研究能力の養成が求められているが社会調査研究に関してはほとんど行われていない.我々は将来の就職先に関わらず臨床上の問題を抽出し,適切な測定と統計解析の実践による研究ができる薬剤師の養成を目指し,基礎的な知識・理解を担保するチーム基盤型学習(TBL)と自由度の高い問題解決型学習(PBL)を共存させたハイブリッド型演習プログラムを構築した.学生の演習への意欲を高めるため,本演習はARCSモデルによる教育デザインを行い,自分たちを対象としてテーマを自由に設定し,アンケートを自作し実際に調査するという実践(Does)を行った.演習終了後に行ったアンケートからは,本演習に対して肯定感の高い層は,評価の追求や競争心の有無に関わらず,将来の研究や学会発表に対して高い関心を示した.本演習が,社会調査研究を担う能力を有する薬剤師の養成という目的を達成する可能性のある教育プログラムであることが示唆された.
Six-year pharmacy education requires the development of research minds, but little is done in the area of social research. We aim to train pharmacists who can extract clinical problems and conduct research by applying appropriate measurement and statistical analysis regardless of their future employment. Thus, a hybrid exercise program was established, which included team-based learning (TBL) that ensured basic knowledge and understanding, and problem-based learning (PBL), which involved high autonomy. To increase students’ motivation for the exercise, the program was designed using an ARCS model, and students carried out the research exercise to decide themes freely, to create the questionnaire, and to conduct the survey for themselves. According to the severance conducted after the exercise, students who had high affirmation of the exercise showed high interest in research and conference presentations in their future, regardless of their pursuit of exercise evaluation or competitiveness. It was suggested that this exercise was an educational program that could achieve the purpose of training pharmacists capable of conducting social research.
6年制薬学教育の修了時に卒業生に求められるものとして,「薬剤師として求められる基本的な資質」が掲げられており,改訂薬学教育モデル・コアカリキュラムにも記されている1).その中には,「研究能力(薬学・医療の進歩と改善に資するために,研究を遂行する意欲と問題発見・解決能力を有する)」が含まれている.この研究能力では自然科学系における,いわゆる実験研究が重要になるのは当然ではあるが,近年の薬剤師,6年制薬学教育に求められる社会的役割・使命を踏まえると,社会調査研究もまた同様に重要になると考えられる.薬剤師としての社会での活躍を考えると,臨床での問題を基礎研究によって解決する研究能力が重要であると同時に,患者・市民・地域において問題を抽出し,仮説に基づいた調査研究を行う能力も重要になる.現在の6年制薬学教育プログラムでは,実験研究への実践的取り組み,パフォーマンスレベルでいうところのDoesの経験を卒業研究の中で学生が積み重ねて研究能力を養っていくことが可能であり,このことは薬学教育において重要な点の一つともなっている.しかしながら,一部の薬学部で非実験的な研究を行う研究室が設置され卒業研究が展開されているとはいえ,多くの学生が社会調査研究に関わる能力を育むことなく6年制薬学教育プログラムを修了している.他領域,他学部においても,教育プログラムとして社会調査型研究の実践的な能力の涵養に取り組んでいる報告は確認できていない.
摂南大学薬学部では,5年次配当科目として,「臨床研究立案演習」を設置し,学生の社会調査研究に関わる能力を,実践的経験を経て身につけるプログラムを立案した.本科目の教育目標は「臨床上あるいは疫学上の問題点を解決するために,適切な臨床調査研究を立案し,的確に実施する準備が出来る」ことのほか,「研究者に求められる自立した態度を身につける」,「他の研究者の意見を理解し,討論する能力を身につける」,「医療の担い手として,生涯にわたって自ら学習する大切さを認識する」ことなどの態度領域にも及んでおり,総合的なパフォーマンスを学生に要求する演習科目である.本演習では,臨床における問題抽出と解決の実践ができる能力の養成を目指しているが,それを遂行する為には研究をデザインする能力が必要となる.ただし,ここで言う研究デザインは,治験等の高いレベルのデザイン能力を求めるのではなく,例えば街の薬局や小規模の病院であっても薬剤師が実臨床において疑問に思ったことを解決するために,問題を抽出し,事象を明らかにするための測定基準を策定し,基本的な統計手法の実践と考察により,一定レベルのエビデンスへと導くレベルを想定している.この能力を学生が獲得し,また実践的経験を経ることによって,将来薬剤師として,どの様な環境にあっても生涯研究に携わり,身の回りの疑問に対して社会科学的なアプローチを続ける資質・能力の獲得を期待できる教育プログラムの構築を目指した.
実践的な教育を展開し学生にパフォーマンスを発揮する場を与え,そのパフォーマンスを効果的に測定するために,本演習には問題基盤型学習(problem based learning; PBL)を導入した.問題解決型学習が想定した学習効果を発揮しない原因の一つは,問題を抽出するために学生が取り組むシナリオが教授者側により予め設定されてしまっているため,課題発見の自由度が低くデザインされており,結局は学生が実際に行うことが「用意された課題をシナリオの中から見つける作業」となってしまうからである.このことは,学習者の成果の偽装が模倣やプロダクトの定型化により容易になり,学習成果による評価が能力や努力に伴わなくなることで,学習者の学習意欲や自律性・積極性の低下に繋がる.一方,課題発見・問題設定の自由度が高ければ,学習者は内容に興味を持ち,注意を払い,必然的に自らが将来必要とする能力と学習の関連性を高める選択をしていくと期待できる.ただし,自由度の高い学習形態は,結局学生は何も学ばなかった,というリスクを伴う.そこで本演習では,社会調査研究能力の獲得のため必要な学習者の基礎的な知識・理解を担保するために,既に学習効果が高く認められているチーム基盤型学習(team-based learning; TBL)2,3) を取り入れた.学習方略としてTBLの有用性は我々がすでに報告4) しているが,さらなる発展と実績を重ねており,近年の報告例においても,薬剤師教育5),多職種連携教育6),病態・薬物治療分野における改変型 7),在宅看護領域8),タブレットを活用した手法9),医学部でのTBLを含めた能動型学習の変遷10),有機化学への導入 11),医学部での臨床教育での活用12),EBM教育への導入13) などのエビデンスが蓄積されている.本演習では,社会調査研究能力の獲得に必要な,「調査測定項目の設定」,「統計解析」,「研究倫理」の3つに関わる知識を身に付ける部分に教育効果と学生の能動性を高めることが十分に示されているTBLを採用した.一方で,TBLは教授側の設定した問題に対しての取り組みとなる学習者側の自由度が低くなってしまう限界が存在する.そこで,TBLの授業設計における応用課題の部分に自由度が高くデザインされたPBLを当てはめた,TBL-PBLハイブリッド型の演習を立案した.TBLとPBLを組み合わせた同様の取り組みは看護領域の教育研究において報告されている14).
更に,学生の演習への意欲を高めるため,インストラクショナルデザイン15) の一つであるARCS(Attention・Relevance・Confidence・Satisfaction)モデル16,17) を取り入れた学習方略,評価のデザインを行った.注意(Attention)を高めるための方策として,社会調査研究の実践環境を演習に取り入れた.具体的には,履修者自身を被験者としたアンケート調査を学生自ら企画・実施することである.TBLに共に取り組んだチームで,自分たちを対象として調べてみたいテーマを自由に設定し,アンケートを自作し実際に調査するという実践(Does)を行う.加えて,Moodleを用いて,アンケートの作成-実施-結果の公開のタイムラグをなくし,学生の好奇心が持続している間に次の作業へと移行できる環境を整えた.関連性(Relevance)を高めるための方策として,正規の授業ではあるが学生が取り組む調査テーマに制限を加えること無く,真に興味がある内容に取り組みその内容によって評価を行わないことを担保した.また,取り組んだ作業の結果がどの様な形になり何を表すのかを,自ら統計解析に取り組むことにより自ずと可視化出来る環境を用意した.自信(Confidence)を高める方策として,自分たちのチームの成功や不足点が認識出来るように別チームのアンケートの内容や結果も全チームで共有した.また,アンケートの作成と調査は1回ではなく,調査結果の解析を経て,再度アンケートの作成・調査が可能な,自らの計画の改善と再挑戦の機会を保証した.満足感(Satisfaction)を高めるための方策として,学生自らが調べ作成したアンケートを現実の対象者(自分たち自身)に使用し,その結果を自らが調べた統計解析法によって解析を行う機会を準備した.そのために,徹底したチーム主体的な学習とし,成果を公開,フィードバックを受ける場を用意した.加えて,ルーブリック評価,ピア評価を行い,様々な観点から主体性とパフォーマンスに対して正当な評価を総括的評価として取り入れた.しかし,自由度の高い課題発見・問題解決のプロセスは,学習方略や評価の準備・実施負担が高く,学習進行の制御が困難となるため,学習効果を上げ信頼性のある評価を行うことが困難な場合が多い.また,能動型学習における学生のパフォーマンスを評価することは,パフォーマンスの成長に必須であるが,評価の基準と機会の平等性を担保することが重要となる.本演習は,Information Communication Technology(ICT)環境を完備した大学の情報処理演習室を学習の場とした.学生全員がパソコンを自由に使用できる環境で,インターネットおよびMoodleを随時活用することができる環境によって,学生が高い行動選択の自由度をもって課題発見・問題設定に取り組める学習条件の構築を目指した.更に情報処理演習室では,教員が教員用パソコンで学生のパソコンの画面を確認することが出来るため,各グループの取り組み状況をリアルタイムで把握しフィードバックを行う双方向性の高い環境が評価の平等性を高めた.また,本学では1年次よりピア評価を総括的評価として用いており学生はその意義や運用を十分に理解しており経験も豊富である18) ことも,自分たちのパフォーマンスへの評価の信頼性を高めると考えた.
2.演習の運用演習(1.5単位の卒業要件の必須科目)の履修生のうち,2014年度5年次生208名,2015年度5年次生204名(2014年度に履修した学生の再履修学生を含む)を解析の対象とした.2014年度は3班(69名14チーム,69名14チーム,70名14チーム),2015年度は2班(106名17チーム,98名16チーム)でそれぞれ同じプログラムの演習を行い,各班においては1チーム5~6名で編成した.演習担当教員は3名であった.各班の演習は1日5コマ(1コマは90分)で6日間とした.各日の演習スケジュール及び演習の評価系の詳細は電子付録に示した(Supplementary materials 1).
3.アンケートの実施と倫理的配慮本演習プログラムの評価を得るために演習終了後に本演習の履修学生(2014年度,2015年度)を対象として演習評価のためのアンケート(表1)をMoodleにて記名式にて行った.回答期限は,演習プログラム終了後から1週間と設定した.本研究のアンケートは,我々のTBLに関する研究4) で有用性を示したものを基として,今回の演習内容に基づいて変更を加えたものを,ARCSモデルの観点を抽出可能かどうか見直したものを用いた.演習プログラムの評価は,このアンケート結果の基本統計量による判断と,アンケート結果に対して因子分析を行い因子得点に基づくクラスター分析を行って履修学生を群分けし,どのような性質をもった学生がどのような割合で分布するかによって判断を行うこととした.演習評価アンケート実施に当たり,演習評価アンケートの回答内容や回答の有無が成績等に影響を与えないこと,演習評価アンケートの回答をするかしないかに関しては,自分自身の判断のみで自由に決めてよいことを説明し,Moodle上にも記載した.演習評価アンケートの選択肢には,演習評価アンケートを研究目的に用いてもよい,あるいは,演習評価アンケートを授業改善の目的のみに用いてもよい,の選択肢を用意し,演習評価アンケート結果の利用範囲を学生が選択できるようにした.統計解析にはJMP Pro 15.1を用いた.統計解析においては,一定の水準をもって有意であるという二値的な価値判断を行うのではなく,慣例的に用いられてきた0.05という数値を一定の指標として尊重しながらも,基本統計量や回答者数,回答者の背景などを考慮して議論していくと共に,読者がそれぞれの判断をできるように可能な限りのデータを掲載することとした.
No | 演習評価アンケート項目 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | |||
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1 | TBLは統計学を理解するために有効な学習方法だと思いますか? | 思わない1 | ・・・ | 5思う | 1 | 15 | 45 | 134 | 195 |
2 | TBLは臨床研究立案法を理解するために有効な学習方法だと思いますか? | 思わない1 | ・・・ | 5思う | 2 | 13 | 55 | 148 | 172 |
3 | TBLに楽しく参加できましたか? | 出来なかった1 | ・・・ | 5出来た | 9 | 12 | 32 | 109 | 228 |
4 | グループのディスカッションに積極的に参加できましたか? | 出来なかった1 | ・・・ | 5出来た | 3 | 12 | 57 | 124 | 194 |
5 | 講義とTBLどちらが理解しやすいですか? | 講義1 | ・・・ | 5 TBL | 19 | 21 | 55 | 121 | 174 |
6 | 個人学習とTBLどちらが理解しやすいですか? | 個人学習1 | ・・・ | 5 TBL | 21 | 15 | 49 | 123 | 182 |
7 | iRATの存在は予習をするきっかけになりますか? | ならない1 | ・・・ | 5なる | 24 | 34 | 80 | 113 | 139 |
8 | iRATの難易度はどうでしたか? | 難しい1 | ・・・ | 5簡単 | 136 | 153 | 86 | 12 | 3 |
9 | tRATの難易度はどうでしたか?(チームで取り組む難易度として) | 難しい1 | ・・・ | 5簡単 | 48 | 124 | 166 | 43 | 9 |
10 | iRATはどの程度の難易度だったとき達成感がありましたか? | 難しい1 | ・・・ | 5簡単 | 42 | 118 | 164 | 50 | 16 |
11 | tRATはどの程度の難易度だったとき達成感がありましたか? | 難しい1 | ・・・ | 5簡単 | 56 | 152 | 142 | 29 | 11 |
12 | TBLにおけるピア評価の存在は学習意欲を高めますか? | 下げる1 | ・・・ | 5高める | 9 | 16 | 145 | 106 | 114 |
13 | TBLの効果的な実施にピア評価は必要だと思いますか? | 不必要1 | ・・・ | 5必要 | 21 | 37 | 99 | 101 | 132 |
14 | ピア評価の結果を返却することは必要だと思いますか? | 不必要1 | ・・・ | 5必要 | 88 | 55 | 84 | 65 | 98 |
15 | ピア評価がなくても演習態度は変わりませんか? | 変わらない1 | ・・・ | 5変わる | 143 | 55 | 62 | 64 | 66 |
16 | ピア評価でグループメンバーに負けたくないと思う. | 思わない1 | ・・・ | 5思う | 114 | 58 | 107 | 49 | 62 |
17 | TBL式の演習は廃止すべきだ. | 思う1 | ・・・ | 5思わない | 8 | 14 | 63 | 87 | 218 |
18 | ピア評価は廃止すべきだ. | 思う1 | ・・・ | 5思わない | 25 | 35 | 110 | 76 | 144 |
19 | TBL式の演習は効果的な学習法だ. | 思わない1 | ・・・ | 5思う | 3 | 18 | 79 | 135 | 155 |
20 | ピア評価があなたに与える影響はどのようなものですか. | 悪影響1 | ・・・ | 5好影響 | 9 | 24 | 194 | 105 | 58 |
21 | ピア評価を他のグループワークにも取り入れるべきだ. | 思わない1 | ・・・ | 5思う | 58 | 45 | 114 | 88 | 85 |
22 | ピア評価を実習にも取り入れるべきだ. | 思わない1 | ・・・ | 5思う | 78 | 56 | 102 | 70 | 84 |
23 | TBL中にグループメンバーに教えた経験はありましたか? | なかった1 | ・・・ | 5あった | 18 | 33 | 70 | 139 | 130 |
24 | 他人に教えることで,より理解が深まった. | 思わない1 | ・・・ | 5思う | 8 | 15 | 86 | 107 | 174 |
25 | TBLだとわからないことをすぐメンバーに聞けましたか? | いいえ1 | ・・・ | 5はい | 4 | 19 | 34 | 90 | 243 |
26 | iRATの成績で他人に負けたくないと思う. | 思わない1 | ・・・ | 5思う | 84 | 49 | 92 | 86 | 79 |
27 | tRATの成績で他のグループに負けたくないと思う. | 思わない1 | ・・・ | 5思う | 35 | 32 | 52 | 101 | 170 |
28 | 演習中に他の人に刺激されて頑張ろうと思ったことはありましたか? | なかった1 | ・・・ | 5あった | 25 | 19 | 74 | 117 | 155 |
29 | あなたはグループメンバーから頼られたことはありましたか? | なかった1 | ・・・ | 5あった | 16 | 27 | 118 | 125 | 104 |
30 | グループメンバーに頼られると次も頑張ろうという気になりましたか? | ならなかった1 | ・・・ | 5なった | 19 | 13 | 80 | 116 | 162 |
31 | グループ内に教えてくれる人がいると学習がはかどりましたか? | いいえ1 | ・・・ | 5はい | 2 | 5 | 43 | 103 | 237 |
32 | グループ単位での評価があるから頑張らないといけないと思う. | 思わない1 | ・・・ | 5思う | 15 | 13 | 47 | 89 | 226 |
33 | あなたのグループが協力的なグループだったから頑張れたと思う. | 思わない1 | ・・・ | 5思う | 7 | 16 | 43 | 83 | 241 |
34 | 正直,しっかり評価されない授業は少しくらい手を抜いてもいいなと思う. | 思わない1 | ・・・ | 5思う | 44 | 42 | 85 | 90 | 129 |
35 | あなたは演習・TBLのようなグループと一緒に勉強する方が頑張れる. | 思わない1 | ・・・ | 5思う | 26 | 26 | 90 | 96 | 152 |
36 | グループワークで積極的に活躍する人が良い成績を得ることは当然だ. | 思わない1 | ・・・ | 5思う | 14 | 16 | 49 | 99 | 212 |
37 | グループワークで協調的でない人が成績が悪くなるのは当然だ. | 思わない1 | ・・・ | 5思う | 25 | 28 | 85 | 86 | 166 |
38 | グループワークに全く参加しない人に単位を与えないことは当然だ. | 思わない1 | ・・・ | 5思う | 21 | 27 | 59 | 86 | 197 |
39 | この演習はハードだった. | 思わない1 | ・・・ | 5思う | 53 | 71 | 106 | 97 | 63 |
40 | この演習は無駄だった. | 思う1 | ・・・ | 5思わない | 11 | 19 | 64 | 122 | 174 |
41 | 卒業して就職してからも何らかの研究をして発表をしたい. | 思わない1 | ・・・ | 5思う | 73 | 63 | 110 | 61 | 83 |
42 | 研究活動を通じて医療に貢献するのは薬剤師の当然の務めだと思う. | 思わない1 | ・・・ | 5思う | 15 | 19 | 82 | 113 | 161 |
演習評価アンケートは演習プログラム後に実施して,授業時間への影響がないように配慮した.本研究は,摂南大学人を対象とする研究倫理審査委員会の承認を得て行った(承認番号2013-019).
演習評価アンケート対象者のうち,研究へのアンケート結果の利用同意が得られた者,回答に欠損のない者のデータを解析の対象とした.また,2015年度履修生のうち2014年度にも本演習を受けたものは2015年度の回答を解析から除外した.アンケートの有効回答率は2014年度履修生で98%(203人),2015年度履修生で92%(187人)であった.演習評価アンケートの単純集計を表1に示した.本結果を用いて,因子の固有値1.5以上を指標とし,最終的な共通性0.2以上,どの因子に対しても因子負荷量が0.4未満の項目を排除することを基準に探索的因子分析を行った.最終的に,28項目を用いて因子分析(最尤法,対角要素=SMC,Quartimin回転)を行い,7因子を抽出した(表2).累積寄与率は70.3%であった.各因子を次のように命名した.また各因子が示すと考えらえるARCSモデルの要素を付記した.
No | 演習評価アンケート項目 | 因子1 | 因子2 | 因子3 | 因子4 | 因子5 | 因子6 | 因子7 | 共通性 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
21 | ピア評価を他のグループワークにも取り入れるべきだ. | 0.818 | 0.040 | 0.023 | –0.010 | –0.046 | 0.010 | –0.009 | 0.709 |
22 | ピア評価を実習にも取り入れるべきだ. | 0.777 | –0.037 | 0.016 | –0.003 | –0.036 | 0.072 | –0.017 | 0.610 |
13 | TBLの効果的な実施にピア評価は必要だと思いますか? | 0.770 | 0.044 | –0.013 | –0.049 | –0.028 | 0.008 | 0.052 | 0.619 |
18 | ピア評価は廃止すべきだ. | 0.714 | –0.025 | –0.135 | 0.069 | –0.136 | 0.021 | 0.012 | 0.501 |
12 | TBLにおけるピア評価の存在は学習意欲を高めますか? | 0.628 | –0.016 | 0.154 | –0.045 | 0.013 | 0.001 | 0.148 | 0.515 |
20 | ピア評価があなたに与える影響はどのようなものですか. | 0.614 | 0.177 | –0.005 | 0.061 | 0.116 | –0.036 | 0.025 | 0.502 |
15 | ピア評価がなくても演習態度は変わりませんか? | 0.448 | 0.007 | 0.126 | –0.007 | 0.114 | –0.020 | –0.107 | 0.257 |
2 | TBLは臨床研究立案法を理解するために有効な学習方法だと思いますか? | –0.077 | 0.881 | 0.083 | 0.020 | 0.019 | –0.034 | –0.097 | 0.714 |
1 | TBLは統計学を理解するために有効な学習方法だと思いますか? | 0.014 | 0.838 | 0.017 | 0.060 | 0.017 | –0.006 | –0.103 | 0.672 |
19 | TBL式の演習は効果的な学習法だ. | –0.013 | 0.609 | 0.098 | –0.012 | –0.054 | 0.039 | 0.151 | 0.529 |
5 | 講義とTBLどちらが理解しやすいですか? | 0.054 | 0.567 | –0.054 | 0.001 | 0.095 | 0.037 | 0.055 | 0.351 |
6 | 個人学習とTBLどちらが理解しやすいですか? | 0.108 | 0.490 | –0.030 | –0.066 | –0.035 | 0.017 | 0.084 | 0.318 |
40 | この演習は無駄だった | 0.011 | 0.414 | 0.063 | –0.009 | –0.041 | –0.017 | 0.119 | 0.261 |
17 | TBL式の演習は廃止すべきだ. | 0.103 | 0.414 | –0.077 | 0.053 | –0.256 | –0.030 | 0.045 | 0.342 |
26 | iRATの成績で他人に負けたくないと思う. | 0.003 | 0.058 | 0.818 | 0.006 | –0.058 | 0.114 | –0.095 | 0.703 |
27 | tRATの成績で他のグループに負けたくないと思う. | –0.071 | 0.045 | 0.594 | 0.025 | –0.046 | –0.065 | 0.183 | 0.435 |
16 | ピア評価でグループメンバーに負けたくないと思う. | 0.245 | –0.102 | 0.553 | 0.093 | 0.066 | –0.010 | –0.088 | 0.453 |
28 | 演習中に他の人に刺激されて頑張ろうと思ったことはありましたか? | 0.082 | 0.139 | 0.411 | 0.044 | –0.024 | –0.021 | 0.162 | 0.345 |
23 | TBL中にグループメンバーに教えた経験はありましたか? | –0.024 | –0.048 | –0.039 | 0.824 | –0.146 | 0.045 | –0.096 | 0.666 |
29 | あなたはグループメンバーから頼られたことはありましたか? | 0.019 | –0.078 | 0.068 | 0.655 | 0.078 | –0.013 | 0.076 | 0.462 |
24 | 他人に教えることで,より理解が深まった. | 0.001 | 0.230 | 0.135 | 0.510 | –0.078 | 0.072 | –0.087 | 0.437 |
4 | グループのディスカッションに積極的に参加できましたか? | 0.045 | 0.078 | –0.047 | 0.459 | 0.165 | –0.042 | 0.345 | 0.429 |
11 | tRATはどの程度の難易度だったとき達成感がありましたか? | –0.026 | 0.023 | –0.020 | –0.024 | 0.842 | 0.026 | –0.129 | 0.759 |
10 | iRATはどの程度の難易度だったとき達成感がありましたか? | –0.010 | –0.022 | –0.055 | –0.017 | 0.742 | 0.092 | 0.064 | 0.590 |
8 | iRATの難易度はどうでしたか? | 0.039 | –0.033 | –0.018 | 0.000 | 0.043 | 0.762 | –0.046 | 0.611 |
9 | tRATの難易度はどうでしたか?(グループで取り組む難易度として) | –0.023 | 0.032 | 0.031 | 0.020 | 0.012 | 0.747 | 0.080 | 0.570 |
33 | あなたのグループが協力的なグループだったから頑張れたと思う | 0.027 | 0.027 | 0.038 | –0.021 | –0.074 | 0.012 | 0.669 | 0.492 |
3 | TBLに楽しく参加できましたか? | 0.031 | 0.153 | 0.078 | 0.075 | –0.024 | 0.022 | 0.616 | 0.561 |
寄与率 | 16.1 | 16.1 | 9.9 | 8.4 | 6.4 | 5.0 | 8.5 | ||
累積寄与率 | 16.1 | 32.1 | 42.1 | 50.5 | 56.9 | 61.9 | 70.3 |
因子1:ピア評価に対する肯定感(Confidence)
因子2:TBLに関する肯定感(Confidence)
因子3:評価結果と競争心(Attention, Confidence)
因子4:教える側としての能動的参加(Attention, Relevance, Satisfaction)
因子5:TBLにおける達成感(Confidence, Satisfaction)
因子6:TBLにおける難易度(Satisfaction)
因子7:チームへの肯定感(Relevance, Confidence, Satisfaction)
アンケート項目による限界もあるが,確かな評価系やフィードバックから自信(Confidence)が,難しい課題に取り組みチームに貢献することから満足感(Satisfaction)が主として関連づくと思われる.
更に,算出された因子得点より階層型クラスター分析(Ward法)を行い,A~Eの5群に分けた(図1).各群に属する学生の数は,A群から順に86,81,52,112,59名である.各群の,因子得点の平均±標準偏差を算出,比較しやすいように図示した(図2).更に,ピア評価(5項目の平均点・分配点),iRAT,tRATの数値を比較した(表3).ピア評価(5項目の平均点・分配点),iRAT,tRATの数値はTukey-KramerのHSD検定を行い,群間での差が強く見られたtRATにおけるE群,ピア評価項目点におけるC群,E群との比較についてはp値を表中に示した.iRATに関してはE群が低い傾向がみられ,特にB群,C群に対して平均点で劣っていた(p = 0.0010).ピア評価ではC群,E群が低い傾向がみられ,特にA群,B群に対して平均点で劣っていた(p = 0.0033–0.0062).
クラスター分析
各群の因子得点の比較
iRAT(%) | tRAT(%) | ピア項目点 | ピア分配点 | ||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
p (vs E) | p (vs C) | p (vs E) | |||||
A群 | 34.0 ± 8.3 | 79.9 ± 5.2 | 0.0521 | 8.4 ± 0.9 | 0.0062 | 0.0040 | 101.6 ± 12.8 |
B群 | 35.5 ± 10.4 | 81.0 ± 5.1 | 0.0010 | 8.4 ± 0.8 | 0.0052 | 0.0033 | 101.7 ± 11.2 |
C群 | 35.8 ± 8.5 | 81.4 ± 5.0 | 0.0010 | 7.7 ± 1.3 | ― | 1.0000 | 94.9 ± 13.1 |
D群 | 34.0 ± 10.8 | 80.3 ± 5.8 | 0.0094 | 8.3 ± 1.2 | 0.0164 | 0.0110 | 98.9 ± 13.5 |
E群 | 32.0 ± 10.5 | 77.5 ± 4.9 | ― | 7.7 ± 1.2 | 1.0000 | ― | 99.5 ± 20.2 |
Tukey-Kramer’s HSD test
因子分析に採用しなかったアンケート項目のうち,評価の厳格性に関する項目(No. 36, 37, 38)と将来の薬剤師としての研究に関する項目(No. 41, 42)をA~E群別にカイ二乗検定により解析を行った(表4).肯定的な評価を行うこと(No. 36, p = 0.0121)や,不参加に対して厳しく望むこと(No. 38, p = 0.0020)では,グループ間の傾向の違いが強く出たが,過剰に懲罰的な評価(No. 37, p = 0.1689)に関しての差は見られなかった.将来の薬剤師としての研究に関する項目(No. 41, 42)においても群間に差が見られた(p = 0.0003, 0.0093).また,群ごとの回答の傾向は,A群とD群,C群とE群で共通していた.
No | アンケート項目 | 群 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | p |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
36 | グループワークで積極的に活躍する人が良い成績を得ることは当然だ | A群 | 2 | 2 | 17 | 18 | 47 | 0.0121 |
B群 | 6 | 4 | 20 | 18 | 33 | |||
C群 | 3 | 5 | 21 | 16 | 7 | |||
D群 | 3 | 3 | 18 | 33 | 55 | |||
E群 | 12 | 12 | 14 | 11 | 10 | |||
37 | グループワークで協調的でない人が成績が悪くなるのは当然だ | A群 | 4 | 1 | 10 | 20 | 51 | 0.1689 |
B群 | 2 | 1 | 9 | 19 | 50 | |||
C群 | 0 | 6 | 7 | 18 | 21 | |||
D群 | 4 | 3 | 10 | 28 | 67 | |||
E群 | 4 | 5 | 13 | 14 | 23 | |||
38 | グループワークに全く参加しない人に単位を与えないことは当然だ | A群 | 9 | 5 | 12 | 24 | 36 | 0.0020 |
B群 | 6 | 7 | 18 | 16 | 34 | |||
C群 | 2 | 5 | 17 | 14 | 14 | |||
D群 | 4 | 7 | 21 | 21 | 59 | |||
E群 | 4 | 4 | 17 | 11 | 23 | |||
41 | 卒業して就職してからも何らかの研究をして発表をしたい | A群 | 11 | 11 | 29 | 17 | 18 | 0.0003 |
B群 | 18 | 9 | 21 | 10 | 23 | |||
C群 | 12 | 16 | 15 | 6 | 3 | |||
D群 | 17 | 15 | 28 | 21 | 31 | |||
E群 | 15 | 12 | 17 | 7 | 8 | |||
42 | 研究活動を通じて医療に貢献するのは薬剤師の当然の務めだと思う | A群 | 3 | 7 | 10 | 17 | 49 | 0.0093 |
B群 | 8 | 7 | 10 | 15 | 41 | |||
C群 | 3 | 6 | 12 | 20 | 11 | |||
D群 | 5 | 3 | 18 | 17 | 69 | |||
E群 | 2 | 4 | 9 | 17 | 27 |
カイ二乗検定
アンケートの単純集計(表1)からは,TBLにおけるiRATおよびtRAT(No. 1~3, 5, 6, 17, 25),PBLの主体となる相互教育性をもつグループディスカッション(No. 4, 30, 31, 32, 33),学生間相互評価(No. 18, 35, 36, 37)からなる本演習に対する学生の高い評価がうかがえる.プログラムの内容的には非常に学生への負荷が高く,自由度が高いゆえに定型的な作業よりも思考と創意工夫を求められる内容であったが,TBLとPBLを組み合わせた方略への支持は高く,適切な学習環境と方法論により高い負荷の学習も好意的に取り組むことが可能だと考えられる.
各群の特徴から見る特性は以下の通りと考えられる(表3,表4,図2).なお,各群とも,iRATの結果に差は見られず(表3),群間での学力差は考える必要はないと思われる.
A群(86人,22.1%):TBLやピア評価,チームへの肯定感,評価結果に基づく競争心が高く,グループワークへの参加意欲も高いが,TBLの問題の難易度が高いと感じている群.しかしながら,他の群に比べてiRAT,tRAT共に顕著な低さは見られず,全体として積極的な能動型学習に取り組んだものの主観的な問題の難しさに負担感を感じていたと思われる.
B群(81人,20.8%):TBLやチームへの肯定感は高いものの,ピア評価への肯定感と評価や競争心が低い群.TBLの問題も簡単と感じており,報酬(評価)が無くても積極的な取り組みが出来るため,厳しい評価には疑問を感じている群と思われる.
C群(52人,13.3%):TBLやチームへの肯定感,問題の難易度に関する印象は平均的ではあるが,チームへの能動的参加の度合いが極めて低く,それと関連すると思われるがピア評価に対する肯定感も低い.また,ピア評価の項目点がA,B,D群に比べて低く,チームに対する積極性の低さがピア評価の結果にも現れている群である.
D群(112人,28.7%):すべての因子得点が平均を上回っている.TBLやチーム,ピア評価に対する肯定感が高く,積極的に活動をした.TBLの問題も主観的には易しかったと感じている群である.本演習を最も肯定的に受け止め,潜在的には更なるポテンシャルがある群と思われる.
E群(59人,15.1%):TBLとチームに対する肯定感が著しく低く,ピア評価に対する肯定感,競争心も低い.能動的に参加もしておらず,簡単な問題を求める傾向が見られる.TBLにおけるtRATの点数およびピア評価の項目点がA,B,D群に比べて低く,良いグループ運営が出来なかったものと思われる.
各群の傾向から,A群とD群は,TBLやピア評価,チームへの肯定感が高く,評価されることを求めており,能動的に参加をした点で共通するが,TBLの難易度に対する主観的印象のみが異なる.B群は,TBLやチームに関する肯定感が高く,能動的に参加したが,評価を求める点やピア評価に対する肯定感がA,D群と異なっている.一方,C群とE群は評価を求めずピア評価に対する肯定感が低く,能動的に参加しなかった点に加えて,メンバーからのピア評価が低かった点が共通している.
本演習の目的の一つである,どの様な環境にあっても,その場で可能なテーマを見つけ,生涯研究に携わり,身の回りの疑問に対して社会科学的なアプローチを続ける資質・能力の獲得であるが,直接の観察は卒業後の薬剤師としての活躍を追跡しなくてはならないが,現時点での意欲・関心をNo. 41「卒業して就職してからも何らかの研究をして発表をしたい」とNo. 42「研究活動を通じて医療に貢献するのは薬剤師の当然の務めだと思う」の設問によって測定した.No. 41で問うた研究と発表に関しては,最も高い群でも選択肢4と5をあわせても50%に至らないが,研究者としての薬剤師の使命を問うたNo. 42では,A,D,E群においては選択肢4と5をあわせて75%に至った.本演習に対して積極性を示さず,TBLやチームに対して肯定感の低い層は,将来の研究や発表に対しても意欲的とは言えないことが明らかとなった.一方で,A及びD群とB群の間には顕著な差は見られず,本演習に対して積極的であり,TBLやチームに対して肯定感の高い層は,評価の追求や競争心の有無に関わらず,将来の研究や発表に対して高い関心を示した.また,評価の厳格性や将来の薬剤師としての研究に関する傾向についての回答についても,前述の傾向がこれらの項目でも確認できた(表4).No. 36「グループワークで積極的に活躍する人が良い成績を得ることは当然だ」やNo. 38「グループワークに全く参加しない人に単位を与えないことは当然だ」と比較してNo. 37「グループワークで協調的でない人が成績が悪くなるのは当然だ」が群間で差があるとは言い難い傾向を示したが,評価に関しては,TBLやチームに肯定的であり能動的な参加をした群が厳正さを強く求めることが明らかになった.
以上,本演習はTBLという方略がもつチームの醸成を加速する特性と,自由度の高いPBLという特性を組み合わせ,また,本演習を行う1週間は他の授業がないという環境を用意することで学生が能動的かつ実践的に取り組める教育体系を構築できたといえる.また本演習で行った,自分たちを対象として社会調査研究の実践に取り組むプログラムは,因子分析から抽出された因子とARCS動機づけモデルで述べられている各要素が関連付けられることからも,学生の注意を引き,情報を求める行動を刺激し,自ら質問して興味を維持するAttention,自らの経験や価値観,将来の有用性に関連し,授業の目的や到達点を学生自身で決め,学生の動機に合った方略を用いるRelevance,評価の基準の開示と,チームへの貢献が評価されるシステム,取り組みの過程も常に見られフィードバックを受けるConfidence,現実の状況で新しく習得した知識・技能を用い,チームメンバーに望まれる行動が評価によって強化され,厳しいながらも厳密な評価を受けることで得られるSatisfactionを満たした教育デザインを一定の成果をもって構築できたと考えられる.本研究では記名式のアンケートのため追従バイアスを考慮しなければならないが,本学学生への他の記名式アンケートよりも肯定的な回答の割合がかなり高く,反転的な質問に対する矛盾回答も少ないため,一定の信頼性をもって解釈が可能であると考えられる.一定数の能動性を示さない学生の存在が残り,その学生たちへの個別のフィードバックの問題が別の議論として存在するが,本演習は,社会調査研究を担う能力を有する薬剤師の養成という目的を達成する可能性のある,少人数の教員で運営可能な効率的な教育プログラムであると言える.
発表内容に関連し,開示すべき利益相反はない.
この論文のJ-STAGEオンラインジャーナル版に電子付録(Supplementary materials)を含んでいます.