2021 年 5 巻 論文ID: 2020-056
本論文では,COVID-19感染予防対策として導入したオンライン医療面接実習の実践から,患者心理を理解するためのコミュニケーション教育における可能性や留意点について報告する.実習は薬学部4年生を対象としオンライン会議システムZoomを用い2日間のプログラムで実施した.模擬患者セッションはオンライン医療面接として不自然でない場面を設定し,ブレイクアウトルームで行った.実習に参加した薬剤師資格を持つ教員の医療面談の振り返りから,傾聴や共感など患者心理を理解しようとするコミュニケーションの基本的対応は,対面でもオンラインでも普遍的であることが確認できた.一方,オンラインならではの限界や教員のファシリテーション力の重要性も明確になった.COVID-19禍を契機としたオンライン化の流れは不可逆的なものであり,オンラインならではの教育効果を活かしつつ更に有用なコミュニケーション教育につなげていきたい.