医療現場で活躍する薬剤師には,他の医療従事者や患者と信頼関係を築くためのコミュニケーション能力が求められるため,学生のうちからコミュニケーション能力の向上が必要である.しかし,コミュニケーション能力は実体験の積み重ねによって身に付くという考えがあり,講義やロールプレイなどでは教育効果が不十分であると考えられる.そこで,対人関係の気づきの体験学習として,幼児や高齢者とのコミュニケーション交流学習を実施した.学生は,学内での基礎学習を受けたのち,保育施設,高齢者施設のいずれかで特定のパートナーと交流に取り組む.交流学習を通して学生たちは,自分自身の気持ちや言動などの様々な変化などに,気づきや役立ち感・自己肯定感を得て,行動を変容させていった.また,相手を思いやることや非言語的コミュニケーションの大切さに気づき,ホスピタリティを育みながら実践的なコミュニケーション能力の向上を図ることができた.