Plan-Do-Check-Act(PDCA)サイクルは教育改善に活用されている.特に,Check(評価)は教育の質向上に重要で,評価する方法も今は数多く報告されている.しかし,教員が自分の行う教育が抱えている問題点を認知できていなければ,適切な評価を行うことはできない.教育の失敗例は教育の問題点を認知するための重要な教材となる.本稿では教育現場で実際に起きた2つの事例について検証を行い,問題点の確認と改善策の有効性について検証を行ったので報告する.
1つ目は講義方法の失敗例である.定期試験結果を指標にした解析により,教育効果が低い科目を検出した.この科目の講義方法を知識修得の理論に基づき修正したところ,教育効果が有意に向上した.
2つ目は体験学習の体験項目の変更時に起きた失敗である.内容変更した体験学習の感想文を解析したところ,変更前に比べ教育効果が有意に低下していることが判明した.
これらの結果は,適切な評価が教育効果の向上を導き出すことを示している.