本研究では,実務実習中の薬学生が抱くがん化学療法に関わる患者・薬剤師のイメージとその変化を調査した.外来化学療法実習の参加前後にアンケート調査を実施したところ,薬剤師の役割として,副作用モニタリングの重要度は実習後に最も高くなった.一方,抗がん剤の臨床薬理やpharmacokinetics/pharmacodynamics,医療費負担への理解の重要度は実習後で低く,これらの関わりや活用が不足していると考えられた.自由記述回答からは,薬学生は「がん患者」に対して不安や痛みなどの弱い面だけでなく,がんを受け入れて前向きに治療に取り組む姿勢を併せ持つイメージ,「がん患者指導に関わる薬剤師」に対して「がん患者」が抱える想いに寄り添い,患者一人ひとりに適した薬学的管理を行うイメージをそれぞれ形成していると考えられた.薬学生が抱くイメージを踏まえて,治療効果や副作用のみならず経済面や臨床薬理の面からも実習生を様々な患者と向き合わせることが重要であると考える.