2025 年 9 巻 論文ID: e09007
大学教育において,実験実習科目は,データを解釈する力や考察力などを修得する創造的な活動の基礎を作るために不可欠なものであるとともに,薬学生に求められる科学的思考を涵養する機会となっているといえる.名城大学薬学部の化学系実習では,2023年よりNMR(nuclear magnetic resonance),IR(infrared absorption spectrometry)といった分光分析を実際に体験する「機器分析実習」を導入した.さらに2024年には,NMR,IRに関する座学の専門科目の理解の深化を目指し,「機器分析実習」の前後にプレ/ポストテストを実施した.これらの試みの有用性を検証すべく,プレ/ポストテストの得点の解析および受講生アンケートの顧客満足度(Customer Satisfaction, CS)分析とテキストマイニングを行った.その結果,意欲の高い学生にとっては本科目が座学の専門科目の理解や学習意欲の向上につながったことが明らかとなった一方で,学習に困難のある学生に対しては個別の補完教育が必要であることが示唆された.