論文ID: 2024-019
臨床実務実習では,臨床現場で即戦力として業務を遂行できることを目指すものではなく,将来,医療,保健,福祉等における社会的ニーズに貢献する薬剤師として活躍できる基本的な知識・技能・態度,そして問題解決能力の修得を目指すことが重要と考えている.モデル・コアカリキュラムに示された目標を単に作業として身に付けるのではなく,目標の持つ意義を理解した上で修得することを実習生と指導者が共に理解して実習を行うと学習効率が上がることを念頭においた指導を行う必要がある.
公立豊岡病院では,知識偏重の実習ではなく,医療人の一人として臨床現場で個々の事例や症例を体験する実習を心がけている.医療における薬剤師業務の意義や薬物治療における薬剤師の役割を理解し,薬の専門職として医療現場で臨機応変に対応できる実践的な能力を養成する実習を行っている.今まで学修してきたことを実習先の臨床現場へ,さらには国家試験への橋渡しを意識することを指導者間で共有しておく.そして,薬剤師として,「目の前の患者に何ができるのか?」を常に考えて行動することを伝えている.