2023 年 12 巻 3 号 p. 162-170
目的:本研究の目的は,母子保健において保健師が対応している「切れ目」について明らかにすることである.
方法:先進的事例として紹介された8市町村の保健師等を対象に,オンラインによるグループインタビューを行い,逐語録を質的記述的に分析した.
結果:分析の結果,【母子健康手帳交付時から産後の切れ目】,【乳幼児期から就学前後の切れ目】,【転出入の切れ目】,【個別支援関係の切れ目】,【地域の支援網の切れ目】,【組織内体制の切れ目】が抽出された.
考察:保健師が対応している「切れ目」は,時間軸上にあらわれる「とき」の切れ目と,住民を取り巻く地域資源の中にあらわれる「面」の切れ目があり,それらは,実際には様々な組み合わせ・様相で生じ,対応がなされているものであることが示唆された.今後,母子保健における切れ目を埋める保健師の公衆衛生看護技術を明確にする必要がある.