日本公衆衛生看護学会誌
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研究
産後児童虐待の可能性の高いと保健師が判断した特定妊婦の特徴とその関連要因の解明
吉岡 京子笠 真由美神保 宏子鎌倉 由起齋藤 夕子大熊 陽子大屋 成子平林 義弘黒田 眞理子
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2016 年 5 巻 1 号 p. 66-74

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抄録

目的:産後に児童虐待の可能性が高いと保健師が判断した特定妊婦の特徴とその関連要因を明らかにする.
方法:2013年度にA自治体で特定妊婦に登録された49人について,保健師が産後に児童を虐待する可能性が高いもしくは低いと判断した群別の属性,家族要因,妊娠出産に向けた準備,保健師が予測した問題と必要な支援について,t検定,χ2検定とFisherの直接確率検定により2群比較した.
結果:産後の児童虐待低リスク群は27人(55.1%),児童虐待高リスク群は22人(44.9%)であった.二群比較の結果,児童虐待高リスク群の方が児童虐待低リスク群に比して妊婦健診が未受診・不定期の者,妊娠出産に関する知識が不足している者,入院先の確保がない者,慢性疾患の悪化の可能性がある者,医療機関への受診支援が必要な者の割合が有意に高かった.
結論:保健師は産後に児童虐待の可能性が高い特定妊婦に対し,妊婦健診の受診状況や心身状態の変化を定期的に見守る必要性があることが示唆された.

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© 2016 日本公衆衛生看護学会
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