目的:本研究の目的は,保健師が担当業務を後任に引き継ぐ際に,準備した引き継ぎ資料の有無の実態と属性との関連を明らかにすることである.
方法:対象は保健所・保健センターに勤務する常勤保健師であり,分析対象は異動を経験したことのある者とした.調査方法は質問紙調査を用いた郵送法であった.引き継ぎ資料の項目は活動の根拠となる健康課題,活動の評価と課題等の6項目を用い,準備した人数の割合を算出し,属性との関連を検討した.
結果:回収率は67.4%(有効回答率は64.1%)であり,異動を経験した者は709人(68.0%)であった.準備あり群に少なかった項目は活動の根拠となる健康課題(34.8%)および活動の評価と課題(24.5%)であり,これらの準備の有無は経験年数と設置主体に有意な関連がみられた.
考察:引き継ぎ資料の準備あり群は,項目ごとの差が大きい実態が明らかになり,これら2項目の引き継ぎ資料の作成を支援する必要性が示唆された.