日本公衆衛生看護学会誌
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6 巻 , 1 号
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巻頭言
研究
  • ―経験年数と設置主体による比較―
    小出 恵子, 岡本 玲子, 草野 恵美子, 岩本 里織, 福川 京子
    原稿種別: 研究
    2017 年 6 巻 1 号 p. 2-9
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/06/02
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    目的:本研究の目的は,保健師が担当業務を後任に引き継ぐ際に,準備した引き継ぎ資料の有無の実態と属性との関連を明らかにすることである.

    方法:対象は保健所・保健センターに勤務する常勤保健師であり,分析対象は異動を経験したことのある者とした.調査方法は質問紙調査を用いた郵送法であった.引き継ぎ資料の項目は活動の根拠となる健康課題,活動の評価と課題等の6項目を用い,準備した人数の割合を算出し,属性との関連を検討した.

    結果:回収率は67.4%(有効回答率は64.1%)であり,異動を経験した者は709人(68.0%)であった.準備あり群に少なかった項目は活動の根拠となる健康課題(34.8%)および活動の評価と課題(24.5%)であり,これらの準備の有無は経験年数と設置主体に有意な関連がみられた.

    考察:引き継ぎ資料の準備あり群は,項目ごとの差が大きい実態が明らかになり,これら2項目の引き継ぎ資料の作成を支援する必要性が示唆された.

  • 吉岡 京子, 鎌倉 由起, 神保 宏子, 北澤 陽子, 白川 久美子, 大久保 詠子, 大熊 陽子, 大屋 成子, 平林 義弘, 黒田 眞理 ...
    原稿種別: 研究
    2017 年 6 巻 1 号 p. 10-18
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/06/02
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    目的:保健師の判断と組織的検討により児童虐待の可能性が高いとされた要支援児童とその母親の属性と関連要因を解明する.

    方法:分析対象は2015年度にA自治体で登録された要支援児童224人と母親199人である.保健師による児童虐待の可能性の高低により2群に分け,母親や要支援児童の属性を比較し,ロジスティック回帰分析を行った.

    結果:児童虐待低リスク群は児童150人(67.0%)でその母親は133人(66.8%),児童虐待高リスク群は児童74人(33.0%)で,その母親は66人(33.2%)だった.ロジスティック回帰分析の結果,パートナーとの関係性に問題がある者,乳児健診時の育児困難があることが児童虐待のリスクが高いことと有意に関連していた.

    考察:要支援児童の母親の中には妊娠中順調に経過した者が含まれており,母親とパートナーとの関係性や育児困難感の有無を把握することが保健師による児童虐待予防の支援に役立つ可能性が示唆された.

  • 川崎 千恵
    原稿種別: 研究
    2017 年 6 巻 1 号 p. 19-27
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/06/02
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    目的:乳幼児を育てる母親が認識する,地域活動への参加によりもたらされたものと,関連した地域活動の特性について,質的に探究し記述することを目的とした.

    方法:地域活動へ参加する乳幼児を育てる母親を対象に半構造化面接を行い,データを質的帰納的に分析した.

    結果:母親にもたらされたものは6つのカテゴリーで示され,気持ちのゆとりや育児の自信、地域の人とのつながり,不安の軽減、地域の人への信頼などであった。母親が認識した地域活動の特性は5つのカテゴリーで示され,母親のニーズを自然に満たす,気持ちや経験を共有しつながりを築けるようにする,気持ちを軽くする,力を得られるようにするなどであった.

    結論:地域活動への参加により,母親の育児や精神的・社会的健康に変化や効果をもたらしていた.地域活動の特性は,セルフヘルプ・グループ,エンパワメント,ソーシャル・キャピタルなどの概念で説明できると考えられた.

  • ―医療につながった者とつながらなかった者の比較―
    吉岡 京子, 黒田 眞理子, 蔭山 正子
    原稿種別: 研究
    2017 年 6 巻 1 号 p. 28-36
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/06/02
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    目的:近隣住民等からの苦情・相談(近隣苦情・相談)で保健師が困難ケースと認識した精神障害者と,それを契機に医療につながった者の特徴を解明する.

    方法:全国53自治体の精神保健担当保健師261人に無記名自記式郵送調査を行い(有効回答率39.6%),ロジスティック回帰分析を行った.

    結果:医療につながった者は156人(59.8%)で,医療につながったことに有意な関連が見られたのは,属性では男性であること,家族要因では精神科医療機関受診時に親族の協力が得られたこと,精神科要因では不潔な身なりと自傷のおそれがあることであった.

    結論:精神障害者のセルフケア能力の低下への着目は,早期受診の一助になると考えられる.

  • ―ワーク・ライフ・バランスへの自己評価高値群の自由記載から―
    表山 知里, 工藤 禎子
    原稿種別: 研究
    2017 年 6 巻 1 号 p. 37-46
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/06/02
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    目的:work-life balance(以下,WLB)への自己評価が高い中堅期保健師におけるWLBに関する認識,行動を明らかにし,WLBを良好に保つための示唆を得る.

    方法:中堅期保健師へ無記名自記式質問紙による郵送調査を行った.WLBへの自己評価高値群において自由記載のあった全59件を質的帰納的に分析した.

    結果:WLBに関する認識は,自分のWLBを組み立てる,仕事と生活のメリハリをつける,「今」のライフステージにおけるWLBを受け入れる,まわりの協力でWLBが成り立つ,充実感を糧にする,の5カテゴリであった.行動は,仕事の時間を管理する,WLBについて家族や同僚と話し合う,状況に合わせて自分で柔軟に調整する,の3カテゴリであった.認識している課題は,組織全体のWLBへの取り組み強化,子育てを支える資源の不足,時間の有効活用に関する葛藤,の3カテゴリであった.

    考察:中堅期保健師のWLBには,長期的に自分のWLBを組み立てる,協力が得られる環境を自ら作り出す認識と行動が重要である.

  • ―比較および関連要因の検討―
    小川 優, 横山 美江
    原稿種別: 研究
    2017 年 6 巻 1 号 p. 47-56
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/06/02
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    【目的】乳児と3歳児をもつ母親の母性意識における肯定的感情と否定的感情について比較分析し,その関連要因を明らかにすることを目的とした.

    【方法】A市の4か月児健康診査および3歳児健康診査の対象児をもつ母親に,自記式質問紙を郵送し,回答を得た.

    【結果】母性意識の肯定的感情得点は,乳児の母親と3歳児の母親では差は認められなかった.しかし,否定的感情得点は,乳児の母親に比べ,3歳児の母親の方が有意に高かった.重回帰分析の結果,ストレス得点は乳児の母親,3歳児の母親ともに肯定的感情得点および否定的感情得点の両方と関連を認めた.さらに,妊娠中から育児のイメージができた母親は,乳児および3歳児をもつ母親ともに,母性意識の肯定的感情得点が高かった.

    【結論】母性意識の健全な育成には,母親のストレス軽減のための長期的なサポートが重要であり,かつ妊娠中から育児のイメージができるような支援が必要であることが示された.

活動報告
  • ―市町村保健師と共同した活動評価の実施と評価方法の改良―
    山田 洋子, 松下 光子, 大井 靖子
    原稿種別: 活動報告
    2017 年 6 巻 1 号 p. 57-64
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/06/02
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    目的:市町村保健師が活用できる活動評価方法を開発し検討することである.

    方法:筆者らが作成した活動評価シートとシートの記載を助ける質問項目からなる市町村保健師の活動評価方法を使い,4市の4活動について保健師とともに活動評価を実施した.保健師と作業を行うごとに活動評価方法を検討し,シートと質問項目の修正を繰り返した.この検討記録から,シートと質問項目の改善点を整理した.

    結果:シートと質問項目の改善点は,評価する事業の目的・目標の明確化とこれを基軸にした情報整理,評価する事業と自治体における上位計画との関連や他事業との関連を検討することの意識付け,保健師が実践活動の中で取り組みやすいツールとしての整備,保健師の思考のプロセスに沿って情報を整理するシートや質問項目の工夫であった.

    考察:開発した活動評価方法は,活動評価を推進し保健師の能力を高めること,実践の場での活用可能性があることを確認できた.

第5回日本公衆衛生看護学会学術集会
連載企画 公衆衛生看護のグランドデザイン可視化への挑戦
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