日本公衆衛生看護学会誌
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研究
A自治体における要支援児童とその母親の特徴の検討:保健師の判断と組織的検討による児童虐待の可能性の高低に基づく比較
吉岡 京子鎌倉 由起神保 宏子北澤 陽子白川 久美子大久保 詠子大熊 陽子大屋 成子平林 義弘黒田 眞理子
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2017 年 6 巻 1 号 p. 10-18

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抄録

目的:保健師の判断と組織的検討により児童虐待の可能性が高いとされた要支援児童とその母親の属性と関連要因を解明する.

方法:分析対象は2015年度にA自治体で登録された要支援児童224人と母親199人である.保健師による児童虐待の可能性の高低により2群に分け,母親や要支援児童の属性を比較し,ロジスティック回帰分析を行った.

結果:児童虐待低リスク群は児童150人(67.0%)でその母親は133人(66.8%),児童虐待高リスク群は児童74人(33.0%)で,その母親は66人(33.2%)だった.ロジスティック回帰分析の結果,パートナーとの関係性に問題がある者,乳児健診時の育児困難があることが児童虐待のリスクが高いことと有意に関連していた.

考察:要支援児童の母親の中には妊娠中順調に経過した者が含まれており,母親とパートナーとの関係性や育児困難感の有無を把握することが保健師による児童虐待予防の支援に役立つ可能性が示唆された.

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© 2017 日本公衆衛生看護学会
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