目的:実践能力向上を目指したA大学院の公衆衛生看護学実習構築のプロセスを明らかにし,修士課程における実習のあり方を検討することを目的とする.
方法:A大学院と実習施設の協働による実習内容と指導体制の構築過程を記述し,実習指導者らに半構造化面接を実施した.分析は,記述内容は時間軸で整理しインタビュー内容は質的記述的分析を行った.
結果・考察:個人・家族を対象にした実習は,継続訪問を行い担当事例のケアを責任をもち引き継ぐこと,個別支援のための地域アセスメントが特徴であった.地域,社会システムを対象にした実習では,地域アセスメントに基づく事業計画立案・実施・評価は,現場の保健師の実践にも即役立つ内容であった.一方,個人・家族,地域,社会システムを連動,発展させる効果的な実習方法が課題となった.両施設の協働に関しては,実習内容や学生の状況の共有,指導の方向性の明確化,保健師活動の本質を丁寧に話し合うことの重要性が示唆された.