2024 年 36 巻 3 号 p. 9-16
本研究では、宿泊・飲食業の就業者数について、コーホート分析の代表的な手法である要因法と変化率法を用いて、市町村別の将来推計を行った。その結果、推計方法によって傾向が異なり、要因法では多くの市町村で今後とも労働力確保が可能である一方、変化率法では逆に多くの市町村で労働力が減少する可能性が示された。これは、推計に利用したデータが 2000-2020 年であり、女性と高齢者の就業が増加する期間と合致したためであると考えられる。今後、宿泊・飲食業が労働力を確保していくためには、高齢者の雇用を維持することと、同産業に適正の高い若年層の雇用、特に女性の雇用が重要となることを示唆している。