日本植物病理学会報
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原著
リンドウ褐斑病とその病原菌
小林 享夫粕山 新二那須 英夫小野 泰典渡辺 京子
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2009 年 75 巻 1 号 p. 1-8

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抄録
リンドウの褐斑病は1984年に岡山県で発生し,葉に多数の病斑を形成し,激しい場合には全体を褐変枯死させ,その被害の激しさから問題となっている.病原菌は病葉内部から病斑上に立ち上がった菌糸より毛鞠状ないし箒状の胞子塊を形成し,その所属は未決定であった.分生子懸濁液の噴霧接種により無傷でも潜伏期間が短く,発病後の進展も速やかであることが再確認された.病原菌の形態および分生子塊形成過程は,1931年に原・小川によって設立されたケヤキ円星病菌Mycochaetophora japonicaに酷似したが,分生子の大きさ,隔壁の数などが異なり,ケヤキには病原性を示さなかったことから,同属の新種としてM. gentianae Tak. Kobay., Kasuyama et Nasuと命名記載した.
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© 2009 日本植物病理学会
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