日本植物病理学会報
Online ISSN : 1882-0484
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原著
圃場におけるハクサイ黄化病発生程度とPCR-DGGE法に基づく土壌微生物相の関係
長瀬 陽香丹羽 理恵子松下 裕子池田 健太郎山岸 菜穂串田 篤彦岡田 浩明吉田 重信對馬 誠也
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2015 年 81 巻 1 号 p. 9-21

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抄録
ハクサイ黄化病の発病程度と土壌の生物性との関連性を明らかにするため,群馬県内の発病程度の異なる圃場の非根圏土壌を経時的に採取し,変性剤濃度勾配ゲル電気泳動(PCR-DGGE)を用いて土壌の細菌相,糸状菌相および一般線虫相のShannon-Wienerの多様性指数(H')ならびに黄化病菌(Verticillium dahliaeおよびV. longisporum)と発病助長線虫であるキタネグサレセンチュウ(Pratylenchus penetrans)のDNAバンドの相対強度と黄化病の発病程度との関連を調べた.その結果,前作収穫後(9–10月)の一般線虫相H'において,翌年の黄化病の発生程度との間で特に強い負の相関関係が見られた.一方,DNAバンドの相対強度に関しては,同時期の黄化病菌とキタネグサレセンチュウのバンド相対強度と黄化病の発病程度が正に相関し,加えてキタネグサレセンチュウのバンド相対強度は,一般線虫相H'と負に相関することが認められた.以上の結果から,前作収穫後(9–10月)に採取した土壌では,一般線虫相の多様性指数,黄化病菌およびキタネグサレセンチュウのバンド相対強度といった多くの特徴が次作の黄化病の発病程度と関連していることが示唆された.
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© 2015 日本植物病理学会
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