2022 年 88 巻 1 号 p. 18-26
近年,植物病害に対して強酸性電解水を用いた防除が行われている.イネにおいてもいもち病や細菌病で検討されている.しかしながら,これまでに使用されている強酸性電解水については主成分である次亜塩素酸が不安定であるため,有機物が存在すると容易に効力が失われてしまうことが課題とされていた.そこで,有効成分の長期保存が可能な弱酸性次亜塩素酸水によってばか苗病,いもち病(苗いもち),苗立枯細菌病,もみ枯細菌病(苗腐敗症)および褐条病に対して種子消毒効果があるか検証した.その結果,催芽時処理によりばか苗病,いもち病(苗いもち),もみ枯細菌病(苗腐敗症),苗立枯細菌病および褐条病に対して防除効果が認められた.浸種前処理については,ばか苗病,いもち病(苗いもち)で効果が認められたものの,苗立枯細菌病では効果が認められなかった.加えて,弱酸性次亜塩素酸水,強酸性電解水,次亜塩素酸ナトリウム水溶液の防除効果の比較をいもち病(苗いもち),苗立枯細菌病,もみ枯細菌病,褐条病に対して行った.