2022 年 88 巻 1 号 p. 12-17
本研究では,ポリカーバメート水和剤および有機銅水和剤を鉢物アジサイが露地で管理されている期間に散布し,A. valerianellaeによるアジサイ斑点細菌病を抑制できるかどうかを検討した.その結果,ポリカーバメート水和剤を散布した場合,5回の試験中4回で,無散布と比較し発病が有意に減少した.また,有機銅水和剤を使用した場合では,3回の試験中2回で,無散布と比較して発病が有意に減少した.一般化線形混合モデルで解析した結果,ポリカーバメート水和剤を散布した場合の回帰係数の推定値は,参照の無散布に対して-0.70であり,発病を減少させる傾向がみられた(p<0.01).また,有機銅水和剤の場合においても-0.90であり,ポリカーバメート水和剤と同様に発病を減少させる傾向が認められた(p<0.01).これらの結果は,鉢物アジサイの生産現場における斑点細菌病の防除のみならず,A. valerianellaeによって引き起こされる細菌病害の防除に対しても,重要な情報となると考えられる.