日本植物病理学会報
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原著
微酸性電解水の通風気化処理によるバラ切り花の灰色かび病の発病抑制
高川 祐輔二階堂 勝濵谷 希人副島 隆志田中 美順西沢 隆岩岡 広樹Alvian Nur HIDAYAT小林 隆長谷 修
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2024 年 90 巻 2 号 p. 87-93

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抄録

酸性電解水には高い殺菌力があり,作物に対して浸漬や噴霧処理することによって病害を抑制できることが知られている.本研究では,高湿度で保管すると発病しやすいバラ切り花の灰色かび病に対する通風気化した微酸性電解水(SAEW)の処理効果について調査した.通風気化したSAEWは,遊離有効塩素(FAC)量が少なくとも10,000 μg/m2以上で,花弁に付着させた状態の灰色かび病菌の分生子の発芽と切り花の発病を抑制した.また,SAEWの通風気化処理は,実用化を想定し切り花を市場で保管・運搬時に用いているバケットに密の状態でまとめて処理してもFAC到達量20,000 μg/m2であれば明瞭な病害抑制効果を示した.加えて,通風気化したSAEWは灰色かび病菌が自然付着している切り花の発病も抑制することを確認した.SAEWの通風気化処理はバラ切り花を濡らさずに,灰色かび病を予防する技術として実用できる可能性が示された.

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© 2024 日本植物病理学会
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