日本植物病理学会報
Online ISSN : 1882-0484
Print ISSN : 0031-9473
ISSN-L : 0031-9473
甘藷モザイク病について
岡本 弘
著者情報
ジャーナル フリー

1941 年 11 巻 3 号 p. 147-151

詳細
抄録

1. 沖繩地方に於てみられる甘藷モザイク病にはその病徴に2つの型がある。その内,普通にみられるものは第2圖,第3圖の如きもの(I型)にして,第4圖,第5圖の如きもの(II型)は比較的少い。本試驗はI型病徴のものについて行つたものにして,以下はすべてI型病徴のものについての記載である。
2. 沖繩本島に於てはI型のモザイク病は10月頃より翌5月頃迄が發病期間で夏期は罹病株も病徴があらはれず,氣温の降下と共に病徴發現し,翌年氣温の上昇と共に再び病徴消失する。病徴發現の最高限界氣温は23°~24℃附近と思はれる。
3. 罹病株(病徴の發現してゐると否とに關せず)の藷よりの芽は發病適温下では大部分發病する。
4. I型モザイク病はヴァイラスによるものにして接木によつて感染せしめうるが,その病徴發現迄の潛伏期間は甚だ長い。
5. 發病葉の黄緑色或は淡緑色を呈した部分は表皮細胞は不整形にして葉肉部は葉緑體少く,柵状組織は甚しく異状を呈し,時には海綿状組織と區別し難くなつてゐる。
6. 罹病株はその病徴發現期間は藷の減收を來すが潛伏期間は收量に影響がない。
7. 26品種の甘藷について觀察した所,沖繩1號,同100號には普通に本病被害をみるがその他の品種には稀にみるか,或は全くみない。

著者関連情報
© 日本植物病理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top