日本植物病理学会報
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稻熱病に隨伴する1細菌に就て
木谷 清美
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1941 年 11 巻 3 号 p. 136-146

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抄録

1 稻熱病々斑には多くの場合1種の黄色細菌隨伴するものの如し。
2 隨伴細菌のグルーブ,ナムバーは211.2222532なり。
3 隨伴細菌の菌體は2~2.4μ×0.5~0.7μの大いさを有し,短桿状又は長楕圓形にして,周毛を有し,芽胞を形成せず。グラム陽性なり。
4 隨伴細菌の最低發育限界温度は10℃~16℃の中間にありて,最高發育限界温度は40℃以上にあり。適温は28°~30℃なり。
5 隨伴細菌は好氣性細菌なり。
6 隨伴細菌は稻熱病菌分生胞子の發芽に對して抑制作用を有すれども,對峙培養に於ては菌絲の發育に著しき影響を認め得ざりき。
7 隨伴細菌の共存は稻熱病の發病を抑制すれども,病斑の擴大進展に大なる影響なし。
8 稻熱病菌分生胞子發芽の抑制が,細菌共存に基く發病減少の一大原因なるが如し。
9 稻熱病菌分生胞子の發芽抑制竝に發病減少は生細菌の共存によつてのみ顯著にして,該細菌の殺菌により抑制作用は減退す。
10 如何なる機構に基き隨伴細菌が稻熱病菌の發芽を抑制し,以て發病減少を招來するかは尚不明なり。

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