抄録
1. 菜豆炭疽病抵抗性の品種間差異を明かにするため本邦一般栽培品種及び外國品種等40數品種の菜豆を用いて,その子苗及び莢に對する接種試驗を行つた。
2. 實驗には,虎豆・金時兩品種の莢及びビルマの種子等より分離せる4種の菜豆炭疸病菌を用いた。
3. 子苗に對する接種試驗の結果,これら4系統の菌に對して,金時,手無長鶉,中長鶉等一般栽培品種を始め多數の品種は著しい感受性を示すに對し,手無中長鶉,菊地長鶉,常富長鶉,紅金時,大手亡等は強い抵抗性を示した。
4. 從來本病に對しては一般に蔓性品種が強く矮性品種が弱いと云われているが,子苗に對する接種試驗の結果より見ると,子苗に於ては蔓性品種にも罹病性のものがあり,矮性品種に抵抗性のもののあることが認められた。
5. 子苗に對する接種試驗の結果,抵抗性の強弱の明かになつた手無長鶉,金時(弱),手無中長鶉,茶白,紅金時,大手亡(強)の6品種を用いて,莢に對する接種試驗を行つた結果,子苗期に於ける強弱と大體同傾向を示すことが明かになつた。