日本植物病理学会報
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稻胡麻葉枯病菌分生胞子に對する界面活性劑の殺菌作用に就て
宮原 泰幸
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1953 年 18 巻 1-2 号 p. 37-40

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抄録

1. 本研究は, 炭素原子數4∼18個の一鹽基性脂肪酸石鹸類及び, その他の界面活性劑の化學構造及び界面活性と稻胡麻葉枯病菌の分生胞子に對する殺菌 (發芽抑制) 作用との關係に就て實驗した結果を記載した。
殺菌効力の試驗方法は, さきに著者の提案せる, 該胞子に對する水溶性殺菌劑の効力試驗方法に從い, 藥液と胞子とを, 温度28°Cにて, 4時間浸漬接觸せしめ, 胞子をよく水洗したる後點滴發芽によつてその効力を判定した。
2. 一鹽基性飽和脂肪酸加里は, 炭素原子數の増加と共に, 次第に殺菌力を増し, カプリン酸 (C10) 及びラウリン酸 (C12) の石鹸が最も強く, 以後炭素原子數の増加と共に, 再び殺菌力は漸滅する。この場合殺菌作用と溶液の界面活性 (表面張力の滅少) とは相關々係が存在する。又カプリン酸及びラウリン酸加里の同一分子濃度溶液 (0.01M) の解離度は多少の差異が認められるが, 兩者の殺菌力は, 該濃度に於ては略々同樣に約90%の殺菌力を示した。
3. C18の不飽和脂肪酸加里は, 同一炭素原子數の飽和脂肪酸加里に較べて, 殺菌力は微弱で, 溶液の界面活性との間に相關々係は認められない。又C18の不飽和脂肪酸加里は, 不飽和結合數の増加と共に, 殺菌力は僅かに大となる。
4. 同一脂肪酸の加里石鹸と曹達石鹸とは殺菌力に於て大差は認められない。
5. ナフテン酸及び樹脂酸の石鹸は, 水溶液で, 脂肪酸石鹸と類似の物理的性質を有するが, 夫等の殺菌作用は強くない。
6. Igepon T, Nekal BX, リシノレイン酸硫酸エステル曹達等の浸透劑類は, 相當の界面活性を示すが, その殺菌作用は微弱である。
7. cetyl-dimethyl-benzyl-ammonium chloride を主成分とする逆性石鹸は相當の界面性を有し, 殺菌力も強く, 0.004%以上の濃度に於て殺菌作用を有する。

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