1959 年 24 巻 3 号 p. 161-174
アイソトープS35を用いた硫酸ストレプトマイシンの植物体の吸収および体内での移動についてラヂオオートグラフで検討した。
(1) 葉に吸収されたストレプトマイシンは葉のなかではほとんど移動しなかつた。ただ大きい葉脈を含んで処理した場合にわずかに移動した。
(2) 茎の地際部に脱脂綿を巻きつけて, それにストレプトマイシンを含ませると, ストレプトマイシンは吸収されて導管内に入り, 上部の葉に多く移動した。吸収される量が多いと下部の葉にも移動しているが, 上位葉ほど濃度が高かつた。吸収量が少ないと上位葉に最も多いが, 中位葉より下位葉に多い。
(3) ラヂオオートグラフによる結果は, 汁液の阻止円法による検定および Ps. tabaci の接種試験の結果とほとんど一致した。
(4) 茎にストレプトマイシンを吸収させてから24時間後には, かなり多量が上位葉に移動した。