日本植物病理学会報
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植物体内の Polyphenol 成分と植物病原菌 (II)
桐葉中に含まれる2, 3の Polyphenol 及びその桐炭疽病菌の生育に及ぼす影響
脇本 哲碇 弘毅吉井 甫
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1959 年 24 巻 4 号 p. 195-200

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抄録

桐葉中の polyphenol の桐炭疽病菌感染に伴う質的量的変化を調査し, 桐葉中の主要な polyphenol である chlorogenic acid と rutin の桐炭疽病菌の生育に与える効果を検討した。
1. 桐葉中の総 polyphenol 量は桐炭疽病菌の感染によつても著しい変化はないが ortho-dihydroxyphenyl 基を持つ polyphenol 特に chlorogenic acid が増加する。
2. イモチ菌用合成培地 (糖源 glucose) に chlorogenic acid, rutin あるいは quercetin を10-3M 添加すれば, 桐炭疽病菌の生育を促進する。
3. 桐葉中には rutin を含むが, 桐炭疽病菌は in vitro でこれを分解し protocatechuic acid と未知の phenol 1種を生産する。
4. rutin の aglucon である quercetin もよく分解され protocatechuic acid, phloroglucinol および未知の1種の phenol を生産する。
5. 合成培地に phloroglucinol 10-3M添加は桐炭疽病菌の生育を大いに促進するが protocatechuic acid はこれを抑圧し glucose+rhamnose には左程その促進効果は認められず, したがつて rutin および quercetin の桐炭疽病菌生育促進効果はそれらが分解されて生ずる phloroglucinol に帰すべきであろう。

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