抄録
桐葉中に含まれる polyphenol をC14で標識し, C14-polyphenol を抽出してこれを培地中に加え, 桐炭疽病菌を培養してC14の行動を追跡した。培養期間中に培地から放出されるCO2或はC14O2を捕捉するように培養フラスコの副室に15% KOH液を入れて菌接種後一定期間毎に取出して Geiger counter により計数したところ, 培養5日以後は多量のC14O2を放出することが判明した。また polyphenol を paperchromatography により完全に単離して後添加した場合も同様な結果が認められ, これらの polyphenol は桐炭疽病菌の炭素源となり呼吸代謝に入り込むことが証明された。また培養20日菌を滬過洗滌後乾燥して Geiger counter にかけたところやはりC14の活性が認められ, 一部は菌体構成素材として用いられることが明らかになつた。