1961 年 26 巻 3 号 p. 106-111
(1) エンバク冠銹病菌 (Puccinia coronata Corda) 夏胞子, メダケ赤衣病菌夏胞子 (Puccinia corticioides (Berk. et Br.) Magnus) および冬胞子を供試し, カロチノイド色素の同定定量を行なつた。
(2) 供試3胞子とも, γ-carotene が全カロチノイドの約6割を占めて最も多く, 赤衣病菌夏胞子を除くとβ-carotene これにつぎ, そのほか flavochrome, cryptoxanthin, および lutein も検出されたが, 両カロチンに比しその含量は著しく低い。また, エンバク冠銹病菌に比ベメダケ赤衣病菌の各色素含量ははるかに低く, 赤衣病菌でも夏胞子は冬胞子より少ない。
(3) エンバク冠銹病菌夏胞子は発芽処理16時間ですでに, 発芽前カロチノイド含量の約7割を消失する。