日本植物病理学会報
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26 巻 , 3 号
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  • 日野 巖
    1961 年 26 巻 3 号 p. 87-89
    発行日: 1961/05/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
  • 宮本 雄一
    1961 年 26 巻 3 号 p. 90-97
    発行日: 1961/05/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    (1) コムギ縞萎縮病ウイルス (WYMV) およびオオムギ縞萎縮病ウイルス (BYMV) の, 2種のウイルス汚染土壌に対する木酢液土壌散布の効果をのべるとともに, 従来提唱または実行されてきた防除法を再検討した。
    (2) ガラス室内実験と圃場試験とによつて, 木酢液による土壌処理がムギ萎縮病の実用的防除法として好適なものであることを認めた。
    (3) BYMVにより汚染された農家圃場における試験では, 木酢液の土壌散布により雑草の発生が顕著に抑制された。
    (4) 4∼8倍に稀釈した木酢液を散布して3∼5日後に播種した場合 (あるいは原液散布後10日以上を経過してから播種した場合) には, 防除効果が認められただけでなく, 植物の生育も対照区のそれよりも良好であつた。
    (5) WYMVあるいはBYMV汚染土壌を用いたガラス室内実験において, 供試木酢液と同一pHに調製した酢酸を同様に散布しても, 木酢液によるような顕著な防除効果は認められなかつた。
    (6) 木酢原液は2∼2.8%のホルムアルデヒドとその誘導体を含んでいる。また, ムギ萎縮病をはじめ数種の土壌伝染性ウイルス病病土に対するホルマリンの消毒効果がすでに知られている。これらの点からおして考えると, 木酢液の土壌消毒効果は, 単なる土壌pHの一時的変化のみによるものではなく, ホルムアルデヒドおよび類似の含有諸物質の影響が主な原因であると思われる。
    (7) 木酢液は, 農家が農閑期に自己の炭がまで, ほとんど無視できる程度の経費で, 廃煙を空冷して容易に採取できるものである。また, すでに針葉樹稚苗の立枯病およびサツマイモの根こぶ線虫病に対する防除効果が知られている点からも, 木酢液は単にムギ萎縮病のみならず, 農林業の一環作業として各種土壌病害の対策上に, 今後大きな役割を果しうるものと思われる。
  • 吉井 啓, 木曾 皓, 菅 隆良, 岡田 恒則
    1961 年 26 巻 3 号 p. 98-105
    発行日: 1961/05/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    本報告では, 先報の水稲葉からのRNA分離法に工夫を加えて, 純化程度のさらに高いRNAを容易に分離できる方法をのべた。この改良法によつて健稲および萎縮病稲からRNAを分離精製し, その構成ヌクレオチドの含有割合を健病両稲間で比較した。
    (1) 改良法によつて純離された健病稲のRNAについて, その窒素および燐の含有量, N-P率, 糖成分, 紫外線吸収スペクトルを見, プリン, ピリミジン両塩基を調べると, いずれもリボ核酸の理論値にきわめて近い値を示すことがわかる。蛋白質および多糖類の混在は認められない。
    (2) この高い純度のRNAを用いて, その構成ヌクレオチドの含有量およびその比率をしらべ, 健病稲間で比較した。一般に健稲ではアデニール酸に比べてグアニール酸の量が多いが, 萎縮病に感染すると特にグアニール酸の増加することが目立つ。
  • 谷 利一, 内藤 中人
    1961 年 26 巻 3 号 p. 106-111
    発行日: 1961/05/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    (1) エンバク冠銹病菌 (Puccinia coronata Corda) 夏胞子, メダケ赤衣病菌夏胞子 (Puccinia corticioides (Berk. et Br.) Magnus) および冬胞子を供試し, カロチノイド色素の同定定量を行なつた。
    (2) 供試3胞子とも, γ-carotene が全カロチノイドの約6割を占めて最も多く, 赤衣病菌夏胞子を除くとβ-carotene これにつぎ, そのほか flavochrome, cryptoxanthin, および lutein も検出されたが, 両カロチンに比しその含量は著しく低い。また, エンバク冠銹病菌に比ベメダケ赤衣病菌の各色素含量ははるかに低く, 赤衣病菌でも夏胞子は冬胞子より少ない。
    (3) エンバク冠銹病菌夏胞子は発芽処理16時間ですでに, 発芽前カロチノイド含量の約7割を消失する。
  • 桜井 善雄, 松尾 卓見
    1961 年 26 巻 3 号 p. 112-117
    発行日: 1961/05/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    山本, 前田両氏によつて発見, 命名されたサンショウ胴枯病菌について形態的諸性質を調査し, 分類学的検討を行なつた。その結果, 本菌の不完全時代はFusarium solani (Mart.) Snyd. et Hans. に, また完全時代は Hypomyces solani (Rke. et Berth.) Snyd. et Hans. に一致することを認めた。
    本菌の form 名を決定するために F. solani の既報の7 form, 2 race と相互接種を行なつた。その結果本菌は他のどの form とも共通した病原関係を示さなかつたので, Hypomyces solani (Rke. et Berth.) Snyd. et Hans. f. xanthoxyli n. f. [Fusarium solani (Mart.) Snyd. et Hans. f. xanthoxyli n. f.] と命名した。
    授精法により本菌の性現象を検討した。本菌はヘテロタリックであり, mating type は和合型 (compatibility) を異にする雌雄同体であつた。なお本菌は Hypomyces solani f. cucurbitae, f. mori, f. radicicola race 2とは相互に form 間不稔であつた。
  • 桜井 善雄, 松尾 卓見
    1961 年 26 巻 3 号 p. 118-124
    発行日: 1961/05/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    Fusarium solani の f. cucurbitae, f. mori, f. xanthoxyli, f. phaseoli, f. pisi, f. radicicola race 1および f. radicicola race 2について炭素源利用性の差異を検討した。
    供試した44種の化合物のうち l-arabinose, d-xylose, d-glucose, d-mannose, d-galactose, d-fructose, l-rhamnose, maltose, sucrose, d-raffinose, dextrine, starch, inulin, pectin, ethanol および gluconate はすべての form および race によつてよく利用され, 良好な炭素源となつた。しかし acetone, methanol, adonitol, cyclohexanol, oxalate, adipate, および maleate はほとんどあるいは全く利用されなかつた。
    lactose, gum arabic, ethylene glycol, glycerol, erythritol, mannitol, sorbitol, dulcitol, inositol, malonate, succinate, fumarate, lactate, malate, tartrate, citrate, および pyruvate の利用には本菌の種内群分化と関連した特異性がみられた。すなわちγ群 (f. radicicola race 1) およびβ群 (f. pisi, f. radicicola race 2) はともに利用域が広く, 前者はこれらすべての化合物を, 後者は citrate を除く他のすべてをよく利用した。これに反しα群の3 form (f. cucurbitae, f. mori, f. xanthoxyli) は利用しうる炭素源の種類が少ない点で上記2群と異なつていた。δ群 (f. phaseoli) もまたα群に似て炭素源利用域がせまかつた。しかし tartrate をよく利用する点でα群と明瞭に区別された。
    l-sorbose, cellulose, n-propanol および n-butanol の利用性と種内群分化との間には一定の関係がみられなかつた。
  • 栃原 比呂志
    1961 年 26 巻 3 号 p. 125-130
    発行日: 1961/05/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    埼玉県宮原で採集したダイコンモザイク症状株から分離したRウイルスについて抗血清を作製し, RウイルスとPウイルスとの比較を行ない, 次の結果を得た。
    (1) Rウイルス罹病コカブ葉汁液500mlをクロロホルム処理, 塩析, 分劃遠心によつて純化し, このR純化標品を2∼7日間隔で6回にわけて2匹の家兎に注射して, 力価1:5120の抗R血清を得た。抗P血清は前に報告したものを用いた。
    (2) 抗R血清はRウイルスとPウイルスのいずれともよく反応し, 両ウイルスを吸収した。沈降状態はRウイルスとPウイルスとで大きく異なり, Rウイルスは球状ウイルスが一般に示す粉状の沈澱物を生じたが, Pウイルスは紐状ウイルスが一般に示す綿状の沈澱物を生じた。沈降反応ではR罹病コカブ葉汁液の32倍稀釈液 (終末) まで反応が認められたが, スライド法では肉眼で凝集を認めることができなかつた。これらの結果は抗R血清のかわりに抗P血清を用いた場合も同様であつた。
    (3) RウイルスとPウイルスの抗原構造は類似しているが, その異同を明らかにするまでには至つていない。
  • 山口 昭
    1961 年 26 巻 3 号 p. 131-136_1
    発行日: 1961/05/25
    公開日: 2009/04/03
    ジャーナル フリー
    花に典型的 breaking を示す William Pitt の葉汁液を, 種々の生育段階にあるチュウリップ (品種: William Pitt, 紅色花) の葉に接種して, 下記の結果を得た。
    (1) 地上萌芽期接種区では, 接種当年の開花期にすべての花が花冠上半部は暗赤色, 下半部は白色の二色型 breaking を示し, これらの株に着いた仔球は, 翌年すべて典型的 breaking を示した。
    (2) 出蕾期接種区では, 接種当年の開花期に, 花弁に暗赤色条線の入る増色型 breaking を示し, 翌年はすべて典型的 breaking となつた。
    (3) 地上萌芽期および出蕾期の2回接種すると, 接種当年の病徴はすべて典型的 breaking になつた。
    (4) 開花期接種区では, 接種当年には breaking を示さず, 翌年開花期に典型的 breaking を示した。
    (5) 枯れ込み期接種区では, おのおのの株に着いたいくつかの仔球には, 二色型・増色型・典型的 breaking が混在し, 健全な仔球も認められた。
    以上の事実から次の諸点が明らかになつた。
    (1) 出蕾期までのチュウリップへの汁液接種によつて, Tulip mosaic virus (=Tulip breaking virus) を確実に, かつ比較的速かに検出することができる。
    (2) 生育初期の汁液接種によつて, その株に生ずるすべての仔球をウイルスに感染させることができる。
    (3) 枯れ込み期の接種によつても, その株に着く仔球は, 高率にウイルスの感染を受ける。
    (4) 紅色花チュウリップ品種がウイルス感染によつて示す breaking 型は, チュウリップの感染時期とその品種の花色発現決定時期との相互関係によつて決定されるものと推定される。
  • 山口 昭
    1961 年 26 巻 3 号 p. 137-140
    発行日: 1961/05/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    開花期の William Pitt の葉に, (a) 花に褪色型 breaking を示す罹病チュウリップ品種 Lincolnshire, (b) 増色型 breaking を示す罹病チュウリップ品種 Feu Brilliant, (c) 典型的 breaking を示す罹病チュウリップ William Pitt の各葉磨砕液を, カーボランダム法によつて接種した。翌年開花期の病徴は, 接種源としたチュウリップの breaking 型に関係なく, すべて William Pitt の典型的 breaking を示した。
    この結果は, チュウリップ品種によつて異なる breaking 型はウイルスの種類 (または系統) によつて生じたものではなく, それぞれのチュウリップ品種のもつ遺伝的特性によるものであることを示唆する。
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