日本植物病理学会報
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植物ウイルスの虫媒伝染機作に関する研究 (第10報)
萎縮病感染に伴なうイネRNAヌクレオチドの変化について
吉井 啓木曾 皓菅 隆良岡田 恒則
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1961 年 26 巻 3 号 p. 98-105

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抄録

本報告では, 先報の水稲葉からのRNA分離法に工夫を加えて, 純化程度のさらに高いRNAを容易に分離できる方法をのべた。この改良法によつて健稲および萎縮病稲からRNAを分離精製し, その構成ヌクレオチドの含有割合を健病両稲間で比較した。
(1) 改良法によつて純離された健病稲のRNAについて, その窒素および燐の含有量, N-P率, 糖成分, 紫外線吸収スペクトルを見, プリン, ピリミジン両塩基を調べると, いずれもリボ核酸の理論値にきわめて近い値を示すことがわかる。蛋白質および多糖類の混在は認められない。
(2) この高い純度のRNAを用いて, その構成ヌクレオチドの含有量およびその比率をしらべ, 健病稲間で比較した。一般に健稲ではアデニール酸に比べてグアニール酸の量が多いが, 萎縮病に感染すると特にグアニール酸の増加することが目立つ。

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