日本植物病理学会報
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植物ウイルス病の化学療法に関する研究
VI. 諸種の抗ウイルス性薬剤の散布実験
平井 篤造
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1962 年 27 巻 3 号 p. 115-121

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抄録

(1) 主として薬剤の茎葉散布, 一部には土壌灌注法を用いて, 植物ウイルス病の全身感染および局部感染に対する抗ウイルス剤の効果を試験した。
(2) TMV接種タバコ, TMV+PVX混合接種トマトに対しては, Actidione, thiouracil, Dextromycin などの茎葉散布は, 潜伏期間をやや長くし, 体内のウイルス量を減少させる作用がある。CMV接種トマトに対しては, 以上のほかに発病率をやや低下させた。
(3) TMVの接種によつてインゲン・Nicotiana glutinosa 上にできる局部病斑, ならびにPVXの接種によつてトウガラシ上にできる局部病斑は, いずれも Actidione, thiouracil の葉への散布あるいは塗布によつて, かなり顕著にその形成が阻止された。
(4) ツマグロヨコバイの伝染によるイネ萎縮病に対しては Actidione・thiouracil・2, 4, 6-triamino-5-phenylazopyrimidine (Py-41) などが, やや潜伏期間を長くする傾向が認められた。
(5) thiouracil の土壌灌注によつて, TMV+PVXの混合接種によるトマトのネクローシス性の病気がかなり軽減された。

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