日本植物病理学会報
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イネ白葉枯病原細菌の培地に関する研究
諏訪 隆之
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1962 年 27 巻 4 号 p. 165-171

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抄録

イネ白葉枯病原細菌のジャガイモ輪腐病菌培地におけるコロニー形成率のふれの原因を検討した。コロニー形成率のふれは培地の濃度, pHあるいは培養温度によつても影響されるが, その主要な原因は供試ジャガイモの差異によることが明らかにされた。供試ジャガイモの入手先の差異の方が品種の差異よりもコロニー形成率に対する影響は大きかつた。
イネ白葉枯病原細菌の合成培地を平板培養によるコロニー形成率から検討した。本細菌に対する合成培地は向・渡辺の処方を次のように修正した培地で最適であつた。すなわち Na-glutamate 2g, MgCl2・6H2O 1g, K2HPO4 0.1g, シヨ糖5g, Fe (EDTA-鉄として) 1mg, 蒸留水1l, pH 7.0。1シャーレあたり50∼200細胞接種した時の本合成培地におけるコロニー形成率は約80%であつた。
本合成培地を作製および供試する際の二, 三の注意点は次の通りである。EDTA-鉄溶液は夏期において週一度, その他の時期では月に一度ぐらい更新する必要がある。本細菌の平板培養法による生菌数測定には本合成培地は好適であるが, 1%ペプトン添加によつて更に好結果が得られる。本培地は本細菌の保存培地として不適当であることがわかつた。

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