日本植物病理学会報
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27 巻 , 4 号
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  • 諏訪 隆之
    1962 年 27 巻 4 号 p. 165-171
    発行日: 1962/09/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    イネ白葉枯病原細菌のジャガイモ輪腐病菌培地におけるコロニー形成率のふれの原因を検討した。コロニー形成率のふれは培地の濃度, pHあるいは培養温度によつても影響されるが, その主要な原因は供試ジャガイモの差異によることが明らかにされた。供試ジャガイモの入手先の差異の方が品種の差異よりもコロニー形成率に対する影響は大きかつた。
    イネ白葉枯病原細菌の合成培地を平板培養によるコロニー形成率から検討した。本細菌に対する合成培地は向・渡辺の処方を次のように修正した培地で最適であつた。すなわち Na-glutamate 2g, MgCl2・6H2O 1g, K2HPO4 0.1g, シヨ糖5g, Fe (EDTA-鉄として) 1mg, 蒸留水1l, pH 7.0。1シャーレあたり50∼200細胞接種した時の本合成培地におけるコロニー形成率は約80%であつた。
    本合成培地を作製および供試する際の二, 三の注意点は次の通りである。EDTA-鉄溶液は夏期において週一度, その他の時期では月に一度ぐらい更新する必要がある。本細菌の平板培養法による生菌数測定には本合成培地は好適であるが, 1%ペプトン添加によつて更に好結果が得られる。本培地は本細菌の保存培地として不適当であることがわかつた。
  • 岸 国平
    1962 年 27 巻 4 号 p. 172-179
    発行日: 1962/09/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    1. 供試したジャガイモ疫病菌27菌株とトマト疫病菌41菌株とは, トマトの罹病性品種 Ponderosa に対する病原性の強さから, 病原性のきわめて強いトマト型, 病原性の弱いジャガイモ型およびこれらの中間の病原性を示す中間型の3型に分けられた。
    2. ジャガイモ疫病菌27菌株中にはジャガイモ型が17菌株 (60%), 中間型が5菌株 (18.5%), トマト型が4菌株 (14.8%) 含まれ, トマト疫病菌41菌株中にはジャガイモ型は全くなく, 中間型が8菌株 (19.5%), トマト型が28菌株 (68.3%) であつた。
    3. 静岡県静岡市および清水市興津周辺において3カ年にわたり罹病ジャガイモ葉より疫病菌を集め, 3型の分離ひん度を調べた結果, 1959年には51菌株すべてジャガイモ型, 1960年には30菌株中, 中間型が4菌株他がジャガイモ型, 1961年には152菌株中トマト型が5菌株, 中間型が6菌株, 残りがジャガイモ型であつた。
    4. ジャガイモ型および中間型菌を Ponderosa 上で連続通過せしめた結果, ジャガイモ型菌は4代目までに衰滅し不成功に終わつたが, 中間型菌は10回の通過によりトマト型へ転化させることができた。
  • 岸 国平
    1962 年 27 巻 4 号 p. 180-188
    発行日: 1962/09/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    1. Ponderosa (罹病性), West Virginia accession-19, 36, 106, 700 (抵抗性) などのトマト判別品種により race の検定を行なつた結果, 供試菌はジャガイモ型 (potato type) および tomato race 0, 1, Xに分けられた。
    2. tomato race 0を罹病性である Ponderosa 上で, 30代連続通過させても抵抗性品種に対する病原性には変化がなかつたが, 抵抗性であるW. V.-19上で10代連続通過させたところW. V.-19, 106などの抵抗性品種に対する病原性が強くなり, tomato race 0から tomato race 1への転化がみられた。
    3. トマトおよびジャガイモそれぞれの判別品種により, 供試菌の tomato race および potato race における所属を調べ, 両者を比較対照した結果, 同一tomato race に属する菌株の中にも異なつた potato race に属するものがあり, また同一 potato race た属する菌株の中にも異なつた tomato race に属するものがあつて, 両 race の間には相関々係は認められなかつた。
    4. トマトの栽培品種18について tomato race 0および tomato race Xに対する抵抗性を比較したがいずれに対してもとくに抵抗性の強いものは認められなかつた。
  • 岸 国平
    1962 年 27 巻 4 号 p. 189-196
    発行日: 1962/09/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    1. 9府県より採集したトマト葉かび病菌54菌株は, Ponderosa (罹病性), Leaf Mold Resister No. 1 (cf1), Vetomold (cf2) およびV-121 (cf3) を判別品種として race 検定をおこなつた結果, Day の分類方式による race 0 (51菌株) および race 3 (3菌株) の2 race に分けられた。また race 0はさらに race 0(0), 0(1), 0(3), 0(1・3) の4つの subrace に分けられた。
    2. 判別品種として用いた以外の抵抗性品種13に対し, 各 race, subrace に属する10菌株を接種した結果, Stirling Castle は race 0(1) に対して弱抵抗性, 他の菌株に対して強抵抗性の反応を示し, 他の12品種はどの菌株に対しても強抵抗性の反応を示した。
    3. Leaf Mold Resister No. 1, Antimold BおよびV-121には生育後期にわずかながら罹病性病斑が形成されることがあつたが, これらの病斑から分離した菌株を race 検定した結果, V-121から分離したものはこれを侵す race 3であつたが, 他の2品種から分離したものはいずれも race 0であつた。
    4. 葉かび病の病斑には角形のものと円形のものとが認められるが, そのいずれを生ずるかは品種によつて定まり, 突出型葉脈を有する品種は角形病斑を, また非突出型葉脈を有する品種は円形病斑を形成し, 菌の race と病斑の形との間には関連は認められなかつた。
  • 木村 郁夫
    1962 年 27 巻 4 号 p. 197-203
    発行日: 1962/09/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    1. イネ萎縮病ウイルスのツマグロヨコバイ体内での潜伏期は, 18°Cでは, 短かきは8∼12日, 長きは33∼37日であつた。13°Cでは42日後にもヨコバイは感染力をもつようにならなかつた。本葉1葉期のイネに接種した際のウイルス潜伏期は, 18°Cでは短かきは11日, 長きは22日であつた。
    2. ツマグロヨコバイのウイルス伝播能力は産地によつて差が認められた。千葉県産ツマグロヨコバイは滋賀県産および秋田県産ヨコバイよりも, このウイルスを媒介しやすい。滋賀および秋田県産ヨコバイも腹部にウイルス液を注射すれば比較的感染しやすい。
    3. ツマグロヨコバイがウイルスを吸収後15日目から体内にウイルスを検出することができた。また体内のウイルス濃度は15∼20日目に急速に高くなる。保毒虫の頭胸部と腹部におけるウイルス濃度は同程度である。
    4. 罹病イネ体内のウイルス濃度は接種後40日前後が最も高い。接種後40日目の罹病イネの地上茎葉部のウイルスの稀釈限度は10-3であり, 根部のそれは10-2であつて, 地上部の方が濃度が高い。罹病葉の黄緑色部のウイルス濃度は著しく高く, 緑色部はきわめて低かつた。黄緑色部の稀釈限度は10-4であつた。罹病ヒエのウイルス濃度は低く, 稀釈限度は10-2であつた。
    5. 保毒虫磨砕汁液 (1:100) を無毒ヨコバイに注射し, 連続4代継代させたが, これらの虫の磨砕液が感染力をもつていた。
  • 木村 郁夫
    1962 年 27 巻 4 号 p. 204-213
    発行日: 1962/09/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    1. イネ萎縮病ウイルスは10,000rpm 30分での遠心力では少し沈殿するが, 5,000rpm 30分では沈殿しなかつた。保毒虫および罹病イネ磨砕汁液中のウイルス粒子は20,000rpm 120分で沈殿した。このウイルス粒子のM/30リン酸緩衝液中の沈降定数は405×10-13sec であつた。
    2. 部分的精製ウイルス液からフェノール法で, 核酸の抽出を試みた。抽出液を食塩で沈殿させた試料は感染力を有し, その紫外部吸収曲線は270mμに peak を示した。抽出液をアルコールで沈殿させたものは感染力がなく, その紫外部吸収曲線は258mμに peak があつた。
    3. 部分的精製ウイルス液に Bact-Adjuvant を混じて家兎に注射したところ, 終末稀釈倍数1/4096の力価を有する抗血清が得られた。
    4. このウイルスは発育鶏卵の漿尿膜上に培養出来なかつた。
  • 與良 清
    1962 年 27 巻 4 号 p. 214-218
    発行日: 1962/09/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    男爵, その他の品種のジャガイモをメークインに core graft したときの top necrosis 発現の有無についてしらべた。その結果, すべての個体がXウイルスに感染している品種 (男爵, 紅丸, その他), および一部の個体がXウイルスに感染している品種 (農林1号, その他) のXウイルス感染個体を, メークインに core graft した場合には top necrosis を生じたが, Xウイルス感染個体が存在しない品種 (金時, 北海白, その他) では, メークインに core graft しても top necrosis を生うじなかつた。この結果から, メークインに top necrosis を起こすウイルスはXウイルス自身か, Xウイルスと常に混在するある種のウイルスであることが想像される。
    もしメークインに top necrosis を起こすウイルスがXウイルス自身であるならば, Xウイルスに感染しているジャガイモをメークインに core graft した場合に, 100% top necrosis が生じてよいわけであるが, 実際に top necrosis を生じない場合もかなり多い。しかし, 2, 3の実験の結果から, top necrosis を起こすウイルスを core graft しても, かならずしも top necrosis が発現するとは限らないことがあきらかとなつた。
    次に, メークインに top necrosis を起こすウイルスとXウイルスとの関係を知るため, cross protection test をおこなつた。1959年3月に嬬恋馬鈴薯原原種農場で発見されたメークインのXウイルス感染個体を用い, core graft により cross protection test を試みた。その結果, メークインに top necrosis を起こすウイルスはXウイルスのひとつの系統であることがあきらかとなつた。
  • 與良 清, 土崎 常男
    1962 年 27 巻 4 号 p. 219-221
    発行日: 1962/09/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    組織培養を用いて, ジャガイモ男爵の無ウイルス化を試みた。ジャガイモ男爵の塊茎から発芽した芽の先端の生長点の組織を0.2mmの長さに切りとり, Kassanis (1957) の培地を入れた小試験管に移植した。158個体を移植したうちで, バクテリアの混入した64個体を捨てた。残り94個体のうち18個体が移植後2∼6カ月で発芽しはじめた。発芽した組織はさらに大きな試験管に移し, 5cmぐらいの大きさの小植物体に発育したとき, 殺菌土壌に移植した。このようにして現在まで5個体のジャガイモを土壌に移殖したが, これら5個体はいずれもXウイルスを保有していなかつた。そのうち1個体について血清反応でSウイルスの検定を行なつたが, Sウイルスは検出されなかつた。これら5個体のうち3個体から塊茎を得ることができたので現在増殖中である。
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